大沼 紀子さんの「真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」を読みました。
概要・あらすじ(Amazon内容紹介より)
*――――*★*都会の片隅に、真夜中にだけオープンする不思議なパン屋さんがあった*★*―――――* あたたかい食卓がなくても、パンは誰にでも平等に美味しい。 。*。・.。心地良い居場所を見つける物語。.・。*。 謎多き笑顔のオーナー・暮林と、口の悪いイケメンパン職人・弘基が働くこの店には、パンの香りに誘われて、なぜか珍客ばかりが訪れる……。 夜の街を徘徊する小学生、ワケありなオカマ、ひきこもりの脚本家――― 夜な夜な都会のはぐれ者たちが集まり、次々と困った事件を巻き起こすのだった。 家庭の事情により親元を離れ、「ブランジェリークレバヤシ」の2階に居候することになった女子高生・希実は、“焼きたてパン万引き事件”に端を発した失踪騒動へと巻き込まれていく……。
内容のメモと一言感想
パンやさんという平和なモチーフとはうらはらに、登場人物たちはみな割とヘビーな事情を抱えている。
主人公の希実の母は、恋愛体質で希実のことは放置し、自分の恋愛にかまけている。
本作、午前0時のレシピの中心人物のこだまも母もまた、母親として十分にこだまの面倒を見切れていない。
好きなところ
そんな、世間一般からみたらだめだしされてしまいそうな、母たちにもそれぞれ事情があることが、ありのままにかかれているところ。
真夜中のパン屋さんのイメージを作った、美和子さんの、誰かの傘でありたいという言葉。
おすすめ度 ★★★★
第一印象よりも、読めば読むほど深く優しい作品。
一作一作に、先を読まずにはいられないミステリが込められているところがまたよいです。