八木沢里志さんの「純喫茶トルンカ」を読みました。
概要・あらすじ(Amazon内容紹介より)
「純喫茶トルンカ」は美味しい珈琲が自慢のレトロな喫茶店。東京の下町にひっそり佇む店には、魔法をかけられたようなゆっくりとした時間が流れ、高校生の看板娘・立花雫の元気な声が響く。ある日バイトの修一と雫が店に出ていると、女性客が来店。突然「あなたと前世で恋人同士だったんです」と修一に語りだし…。孤独や悲しみを抱えた人々の心がやわらかくドリップされていく…。ほろ苦くも心あたたまる物語。
内容のメモと一言感想
本書はトルンカでバイトする修一くん、トルンカに通うひろさん、トルンカのマスターの娘雫が主人公の3話を含むオムニバス。
印象に残ったところ
三者が三様に過去の傷を抱えているところ。
両親の不仲による子ども時代の思い出、若い頃恋人を捨てた思い出、そして、姉を亡くした思い出。
ディープな過去と、傷を抱えた彼らの成長物語。
好きなところ
一歩間違えると暗い話になりそうだが、主人公たちには彼らを支える存在がいて、彼らを含む居場所であるあたたかなトルンカ、そしてトルンカを包む谷根千が、暖かく癒してくれる。
コーヒーの描写が素晴らしい。美味しいコーヒーが飲みたくなる。コーヒーや喫茶店にまつわるうんちくもよい。
おすすめ度 ★★★★
サッと読めて、読みやすく、主人公の成長と癒しがあるオムニバス。
読んで癒される読む人を選ばないサプリ小説。
欲を言うと、もう少しくせがあってもよいかな、と思った。
続きと、著者デビュー作も気になる。