どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

森絵都さんの「リズム・ゴールドフィッシュ」を読みました。~ごくごく自然に、中学生の主人公たちに共感できる、間口の広い児童文学。

 

森絵都さんの「リズム・ゴールドフィッシュ」を読みました。 

リズム/ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

リズム/ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

  • 作者:森 絵都
  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 文庫
 

内容・あらすじ

中学1年生のさゆきは、いとこの真ちゃんが大好きだ。高校へ行かずに金髪頭でロックバンドの活動に打ち込む真ちゃんとずっと一緒にいたいのに、真ちゃんの両親の離婚話を耳にしてしまい……。(Amazon内容紹介より)

感想

さゆきの、いつまでもこのままでいたいという気持ちに共感

小学校の時、中学校の時その時その時でいつまでもこのままでいたいという気持ちを感じたのを思い出しました。
学校の卒業などの、最初から判っている変化に対しても、いつまでもこのままでいられたらいいのにと感じるのに、いわんや、予想していなかった変化はどんなに切ないことでしょうか。
真ちゃんが家を出て遠くに行ってしまうこと。
真ちゃんの家族が離婚して家族がこのままでもいられなくなるという状況。
中学生のさゆきを、様々な変化の試練が訪れます。
そんなさゆきに真ちゃんがくれるプレゼントは、さゆきの人生を支えてくれるすてものでした。

これがタイトル「リズム」に繋がっています。

登場人物の1人1人が憎めない

お姉ちゃんは、さゆきとはちょっと物事の感じ方が違います。
お姉ちゃんとさゆきと真ちゃんとたかしくんは小さい頃よく4人で遊んでいました(テツも)。
お姉ちゃんとたかしくんは海に行こうと決めたら、必ず海に行くという目的を達成します。
ところが信ちゃんとさゆきがいつの間にかいなくなり、何か別のことを初めて、それでも楽しそうに帰ってきます。
お姉ちゃんが目標を達成しなければ、気がすまない。
けど、何か別のことで本当に楽しそうに出来る真ちゃんとさゆきが羨ましくもあったとのこと。
(お姉ちゃんは目標思考・達成感を大事にする人で、さゆきは適応性の人なんですね。)
このことをさゆきに告白する時のお姉ちゃんが、目標に向かって頑張れるお姉ちゃんが好きです。
真ちゃんのお父さんも、真ちゃんには夢を諦めて就職してほしいと、さゆきが聞きたきないことを言っちゃう大人だけど、それでもやっぱり憎めません。
 
出てくる登場人物1人1人の個性とバックグラウンドがなんとなく見えて、サイドストーリーも読んでみたいなと思わせる、物語の深さ。
森絵都さんの作品でいつも感じます。

おすすめ度★★★★★

講談社児童文学新人賞を受賞した作品。
あ、これ児童文学なんだな、と読んで初めて知りました。
中学生くらいの時に読んでみたかった。でも今読んでも十分にさゆきに、主人公に共感でき、さゆきを取り巻く囲む同級生、そして大人に共感できる本でした。

リズム/ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

リズム/ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

  • 作者:森 絵都
  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 文庫