柴門ふみさんの「東京ラブストーリー」「東京ラブストーリーafter 25 years」を読みました。
内容・あらすじ
想像とは違う東京の生活に失望を覚えていたカンチは、高校の同級生である三上と会う。そこで2人の女と出会い、いいムードに。カンチは一方の女をホテルに連れてはいるが、女は泥酔していて手がつけられない。先に出ようとフロントに行くと、同僚の赤名リカに偶然出くわす…。東京では誰もがラブストーリーの主人公になれる。恋愛の達人・柴門ふみが、男女4人の姿を通して描く都会の恋のカタチ!!
(Amazon内容紹介より)
感想
色褪せない恋愛物語
東京ラブストーリーの連載は1988年から始まったとのこと。
なんと今から30年以上前です。
しかし、今読んでもキャラクターは新鮮だし、物語はリアルだし、まったく面白いと感じました。
(それは私がアラフォーだからでしょうか。)
男性は完治、女性はさとみという、比較的等身大のキャラクターに自己投影しつつ、
しかしどちらの男性または女性との将来もあり得たのだという可能性を感じつつ、
最後に、最も価値観が近そうだなという2人がまとまるという、
理解しやすいエンドを迎えます。
当時は、三上にひかれる部分もありつつ、結婚するなら完治派。
りかにひかれ部分もありつつ、結婚するならさとみ派が多い気もするのですが、逆の意見を聞いてみたいところです。
りかのハッピーエンド
この物語を面白くしている要素の一つはりかのキャラクター。
自由奔放に恋愛し、勝手に会社を休んでしまったり、現実にはここまでのつきぬけたキャラクターはいなそうだけど、でもどこかにリアリティーがあります。
あとがきには、りかさんにはモデルがいるとのことでした。
彼女を受け止められるのはどんな存在かな、と考えてしまいました。
もしかしたらと、西岡社長の器の大きさには期待もしたのですが。
物語の中ではそうはならず。
りかが1人で旅立っていく方が、確かに納得感がありました。
りかにとってこれが一つのハッピーエンドの形だったのかもしれません。
あるいは、りかによき先輩や友人が、現れるシーンが見てみたかったなと感じました。
after 25 yearsを読んで【ネタバレありです】
シングルマザーとなったりかが、きっとその先にであった、住み込みの働き先のオーナー夫妻が、きっとそのような存在だったんだろうなぁと妄想しています。
そして、after 25 yearsでは、意外な形で西岡さんとりかが結婚します。
ここはこれでまた一つのハッピーエンドと言えるのかもしれません。
りかの場合、少し年をつい年をとってからでないと落ち着けなかったのかもしれません。
まぶしいような生き方です。
after 25 yearsで結局完治・さとみ・りかが、親戚になるのがよいなと思いました。
恋愛という形ではなく、生涯支えあう仲間が増えたような温かい心強い気持ちになりました。
このあたり、非婚家族とハッピーエンドの形が似ています。
血縁関係にあるものと暖かい繋がりが作れれば、それもよし。
それがなければ赤の他人と信頼し合うのも良し。
核家族のメンバー、夫婦だけではなくて、もっと周りの人と繋がりのある熟年期を迎えることが、昨今の幸せの形の一つなのかもしれません。
おすすめ度★★★★★
もはや古典的存在の恋愛漫画。
構成・キャラクター・恋愛観に色あせないものを感じました。
東京ラブストーリー本編は、「恋愛」のひとひらを描写した作品。
1巻の著者のあとがきの言葉が印象に残りました。
愛は愛しているという言葉の中に存在するわけではありません。
日常の断片に時折見え隠れする愛の形を何とか捉えてコマに書くことができればといつも考えています。
生い茂った木々の隙間の木々の葉の隙間をひらひらと蝶が現れては隠れるように、瞬間姿を見せてもすぐに消えてしまう愛を、なんとか紙の上にとどめてみたいのです。