住野よるさんの「麦本三歩の好きなもの」を読みました。
内容・あらすじ
朝寝坊、チーズ蒸しパン、そして本。
好きなものがたくさんあるから毎日はきっと楽しい。
図書館勤務の20代女子、麦本三歩のなにげない日常。
(Amazon内容紹介より)
感想
三歩の好きなものがいちいちリアルな共感を呼び、可愛い
ブルボンのバームローム、チーズ蒸しパン。
各短編の中で紹介される三歩の好きなもの、そしてそれを包む愛がいちいちリアルな共感を呼びます。
また、そんな可愛いものたちを愛する三歩がかわいいです。
ブルボンのバームロールとか、日常のちょっとした幸せがいとおしくなる一冊。
三歩はちょっと異質なキャラだけど、、、
三歩が好きなものに抱く気持ちに対しては、共感できるものの、三歩の言動・その脳内ワールドには共感できないところも多々。
あまりに不思議ちゃん?
それでも、そんな三歩を好きになってしまうのはのその素直さと前向きさ。
その素直さに、先輩たちは懲りずにいろんなこと教えてくれます。
そして、ミスをして先輩達に怒られても、三歩はめげません。
魔女の宅急便さながら、落ち込んだりすることはあるけれども、私は元気です、とすぐに立ち直ります。
おかしな先輩に共感
実は三歩のことがあんまり好きではないおかしなの先輩の気持ちの言語化に共感しました。
天然や不思議ちゃんにたいする、「ずるい」という気持ち、なんかもやもやする気持ちをきちんと指摘してしたな、と感じました。
今まで生きてきて三歩だから許されてきたことってあるでしょう。それがずるい。
「ずるい」
もしも、クラスに職場に、不思議ちゃんがいたならば、確かに思うかもしれません。
でもそうだ。よくよく考えたら三歩だからっていう言葉の意味は他の人だったらダメだってことだ。つまり自分だけひいきしてもらってるってことだそれを受け入れてきてしまっていた。それは先輩の言う通り大きなずるってことになるのかもしれない。
ここでまず先輩の指摘を受け入れる素直さが三歩にはあります。
そして、反論します。
でも、先輩だって変な人だからって許されてる部分はあるんじゃないんですか。
私先輩をずっとおかしな先輩だって思ってましたから。変なこと言っててもしょうがないなぁって思ってます。
これについて先輩はちょっと考えて答えます。
それを自覚してるかどうかの問題
些細なずるをして生きてる大人は間違ってるなんて言えない。
ここのやりとり、印象に残りました。
ずるを自覚して、そのずるはずるとして、ほかに好ましいらしさが発揮できれば、三歩のようにみんなから愛される存在になれるのかもしれません。
おすすめ度★★★★
これまでに読んだ住野よる作品とは一味違って、深読みせずに読める明るい作品。
仕事で失敗しても、給湯室でバームロールをたべて、幸せな気持ちになれれば大丈夫。
一条の小さな幸せを新鮮に抱きとめようと思える作品。
住野よる作品は4冊目でした。
残り2冊。