どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

垣谷美雨さんの「女たちの避難所」を読みました。~根底に流れる女性が生きにくい社会への怒り

垣谷美雨さんの「女たちの避難所」を読みました。

 

女たちの避難所 (新潮文庫)

女たちの避難所 (新潮文庫)

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。だがそこは、“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。

 

感想

根底に流れる男尊女卑社会への怒り

何冊か柿谷さんの本をよみました。
どの本にも節々に、女性の生きにくさ、が描かれており、共感すると共に怒りを覚えます。
ときには日々の生活のなかでまた理不尽だと感じて思い出し怒りすることも笑。
改善されつつも、改善しようという動きがありつつも、日本社会のあちらこちらにまだ、前時代の風潮が残っていると感じます。
特にそれが色濃いのが地方でしょう。

本書の舞台は東北地方。
地方の女性の生きにくさが、如実に描かれています。
これだけで読む価値があると思います。

女性が、マイノリティが、生きにくくない社会

この小説を読むと、まず怒りがわき、それが収まると、会社で、地域社会で、そして家庭内で、女性がストレスを感じずに生きることができるようになるためには、さて、どうすればよいのかと思います。
例えば、本書で主人公たちがだした答えは東京で、女性3人で暮らす。
つまり、男尊女卑の風が流れるコミュニティから逃げ出す。
もっともはやく確実な方法かもしれません。
では、家庭など、逃げだすのが困難な場が、男尊女卑の風が流れる場である場合はどうすればよいのでょうか。

本書の主人公たちは、震災の前から生きづらさを感じており、震災でそれが顕著になり、震災をきっかけに、ある意味それで思い切りがついて、行きづらいコミュニティから逃げ出すことに成功しました。
震災のように大きなストレスがないと、「生きづらさから逃げ出そう」という決心がつかず、生きづらい環境で、日々をなんとか過ごしている人が多いのではないか、そのやるせなさはどうすれば、どこにもっていけば良いのか。それを問う小説

おすすめ度 ★★★★★

小説とはいえ、見勝手な男たちに怒りを感じてしまいました。。。
小説として、というよりは、むしろ社会の女性側の声として、たくさんの人に読んでほしいなと感じました。

 

女たちの避難所 (新潮文庫)

女たちの避難所 (新潮文庫)