林真理子さんの「小説8050」を読みました。
概要・あらすじ(Amazon内容紹介より)
息子が部屋に引きこもって7年、このままでは我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない――。
従順な妻と優秀な娘にめぐまれ、完璧な人生を送っているように見える大澤正樹には秘密がある。有名中学に合格し、医師を目指していたはずの長男の翔太が、七年間も部屋に引きこもったままなのだ。夜中に家中を徘徊する黒い影。次は、窓ガラスでなく自分が壊される――。「引きこもり100万人時代」に必読の絶望と再生の物語。
内容のメモと一言感想
子どもがいるすべての親にとって、とても他人事とは思えない小説。
中学受験を全力で応援し、将来は医者を目指す前途有望な男の子が、中学のいじめをきっかけに不登校になってしまう。
息子が中学に通っていた時、両親はいじめの存在をついに認識できず、7年後にようやくいじめがあったことを知る。
いじめを両親にどうしても言えないということはいかにもあり得ることだと思うし、いじめの存在がわからなかったら、(わかったとしても、)親として、適切にふるまえるかはまったく自信がない。
そういう意味で、手探りで子育てをするすべての人が陥るかもしれない落とし穴がリアルに描かれた作品。
主人公である夫がある意味許せない
本書は父の目線から描かれていますが、彼の教育に対する取り組み方や、また、そもそも大事な時期に育児や家のことを奥さんに丸投げしていて取り組んでもいないこと、その放置っぷり、そして、問題が認識されてからの息子に対する言葉、どれもつっこみところがあって、奥さんが家を出ていくのも理解できるといわざるを得ません。
そこがリアルで、この世代の男性あるあるなのかもですが、いくら社会的に成功している人でもこれじゃあね、しかし実際こんなものなのかしら、、、とか考えさせるリアルさがある小説で、こんなところがさすが林真理子先生。
おすすめ度 ★★★★
一気に読んでしまいました。
リアルさ、裁判へと進む展開が読者を引き付け離さない力、衝撃の事件、ほんのり希望のある未来と、さすが林真理子先生! の小説でした。