どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

椰月 美智子さんの「14歳の水平線」を読みました。~お父さんにだって、14歳の時があった。一期一会のひと夏の宝石感を思い返す作品。

 

椰月 美智子さんの「14歳の水平線」を読みました。 

14歳の水平線 (双葉文庫)

14歳の水平線 (双葉文庫)

 

内容・あらすじ

夏休み、征人は息子の加奈太を誘い、故郷の島にやってきた。
征人はたちまち30年前の日々に引き戻され、加奈太はキャンプに参加する。
飛び込みに熱中し、ケンカで殴り合い、自意識を持てあまし、
初恋に身を焦がし、友情を知り、身近な死に直面する……。
思春期の少年が、心身すべてで感じとったものを余すことなく描いた成長物語。
(Amazon内容紹介より)

感想

14歳の加奈太の父である征人にも、確かに14歳の夏があった。

14歳の加奈太の夏の物語と、
父である征人が14歳だったときの夏の物語とが交互に繰り返される小説。
現在は父である征人にも、確かに14歳の多感な夏があったのだというあまりにも当然の事実を、でもともすればただ過ぎる日常の中忘れてしまう事実を、改めて感じます。

爽やかすぎる加奈太の夏

お父さんの夏休みには少し暗いところもありますが、加奈太達の夏はあまりにも爽やか。
加奈太と、加奈太が合宿で出会う少年たちが、1人1人とても素敵です。

加奈太・ミラクル・光圀の3人とサッカー部の3人は出会った当初敵対します。
最初は微妙な雰囲気、しまいには大喧嘩。
しかし最後にはお互いのいいところをいいあうまでに友情を深めます。

初見では憎たらしいと思ったサッカー組の海江田くんですが、ミラクルにかけっこで負けたあと、その後の負けを認める態度のなんと、爽やかなこと。
「人たらし」と称されるのが印象的です。
顔もいいらしいし、サッカーも上手いし、性格は憎めないし、ここぞというひとことがいいし、これは、、、モテる男子。

一期一会の数日間でここまでの友情を成し得るなんて奇跡的! 

はじめはそう思いましたが、よくよく思い返してみると、
小学生や中学生の頃は3泊4日の合宿で、短い期間で初めて出会う年が近い子と腹の底から笑いあったことがあった気がします。
その忘れていた感じを、つかの間思い出しました。
こどもたちも、 一期一会の合宿に送り出してみなければと思いました。
そして、私達大人だって一期一会の食事やイベントで、深い共感を感じたり、同じ感情をわかちあったりして、劇的に仲が良くなれる可能性が、確かにあるよね。
そうおもわせてくれる本でした。

後半、お父さんの青春時代のその後の話が、加奈太たちの世界にリンクしてくるのがよかった。
その後、大人になって友情や恋心が続いている余韻が心地よかったです。

おすすめ度★★★★

椰月 美智子さんの小説を初めて読みました。
椰月 美智子さんは、児童文学新人賞でデビューした作家さん。
中学生を主人公に、ああ確かにこういう感じがあった、と思わせる青春小説の巧みさ、そして、児童文学と大人向けの小説をパラで書いていらっしゃる店に、森絵都さんに通じるものを感じました。
しばらく、椰月 美智子さん作品読んでみようと思います。

 

14歳の水平線 (双葉文庫)

14歳の水平線 (双葉文庫)