どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

中山祐次郎さんの「逃げるな新人外科医」を読みました。~小説だからといってハッピーエンドにはならない。シビアな外科医の世界

 

中山祐次郎さんの「逃げるな新人外科医」を読みました。

逃げるな新人外科医 泣くな研修医2 (幻冬舎文庫)

逃げるな新人外科医 泣くな研修医2 (幻冬舎文庫)

 

概要

俺、こんなに下手クソなのに
メスを握っている。命を託されている。

研修医・雨野の物語、待望の続編。
文庫書き下ろし!

雨野隆治は27歳、研修医生活を終えたばかりの新人外科医。
二人のがん患者の主治医となり、奔放な後輩に振り回され、
食事をする間もない。
責任ある仕事を任されるようになった分だけ、
自分の「できなさ」も身に染みる。
そんなある日、鹿児島の実家から父が緊急入院したという電話が……。
現役外科医が、生と死が交錯する医療現場をリアルに描く、
人気シリーズ第二弾。
(Amazon内容紹介より)

前作の続きです。

 

book.rikejo-c.jp

感想

小説だからとハッピーエンドにはならないシビアな世界

前作に続き、新人外科医となった隆治が住む外科医の世界を、リアルにシビアに描いた作品。
この小説のおそろしいところは各ストーリーがハッピーエンドになるとはかぎらないところ。
新人外科医は医療ミスを起こす可能性だってあるし、仲良くなった患者さんが急変することもある。
そんな厳しい現実を見せてくれる作品です。
その中で、ただ真摯に仕事に打ち込む隆治に、そして先輩・後輩医師に、孤独な武士の風格を感じました。

帰ってくるなと言える親

医療現場で戦う隆治に、癌であっても帰ってくるなと言える田舎の両親がまた泣けます。
本心を見せずに戦う人が、たくさん出てくる小説です。

この働き方が現代と相いれるのか

一方で、このようなすべてを犠牲にする働き方に、どこか時代錯誤な感じがするのも否めません。
令和の今の勤務医の実情を、知りたいと思いました。
もしかしたら、昭和生まれがリーダーである以上、そして、昭和生まれに教育される以上、医療現場のプラック感を消すことは、例えば、女性が家事・育児をするという風潮が日本からすぐには消えないのと同じで、医療現場に沁みついてしまって、なかなかとれないのかもしれません。

おすすめ度★★★★

同年代のお医者さんのお話、このような生き方をされている人がいるのだということが、なんだか刺激になりました。

BRACK JACKとあわせて、医学部を志望する学生に読んでほしいお話。

逃げるな新人外科医 泣くな研修医2 (幻冬舎文庫)

逃げるな新人外科医 泣くな研修医2 (幻冬舎文庫)

 
泣くな研修医 (幻冬舎文庫)

泣くな研修医 (幻冬舎文庫)