どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

椰月美智子さんの「美人のつくりかた」を読みました。~たかが見た目、されど見た目。見た目をモチーフにした、4人の女性たちの日常の・人生の一コマをきりとったオムニバス。

椰月美智子さんの「美人のつくりかた」を読みました。

美人のつくり方 (PHP文芸文庫)

美人のつくり方 (PHP文芸文庫)

 

 内容・あらすじ

「見た目」が変われば人生が劇的に変わる?
本当に似合う色、服、髪型、メイク、アクセサリーなどを提案し、第一印象を変えていくイメージコンサルタント・御手洗繭子。彼女がアドバイスを与えた相手は、外見だけでなくやがて内面まで変わっていく。そして繭子がイメージコンサルタントになった秘密と事情とは?
「きれいになりたい」「自分らしくありたい」と思う女性たちの心理を、鋭くかつ細やかに描く連作小説集。
『見た目レシピいかがですか』?を改題。(Amazon内容紹介より)

感想

4人の女たちの見た目に美しくなりたいという気持ちと、自分らしくありたいという気持ちと

本書は4人の女性をそれぞれ主人公にしたオムニバスです。
一作目の主人公、純代は中学1年生の女の子を子に持つ母。
あまり自分の見た目に構っていない純代は、いつも美しいママ友・真朝ちゃんママを「ききらきらの人」と心の中で呼んでいます。
変な自意識に苛まれることなく、屈託なく美を追い求めるママ友に対して、どこか羨ましくさを感じつつも、彼女は自分とは別の世界の人なんだと自分を納得させ、自分はそこは求めない分相応さ。
この微妙な自己肯定感の低さがうまく描き出されています。
「ダリアの笑顔」の主人公を髣髴させました。
そんな主婦純代が、イメージコンサルタント・御手洗繭子のアドバイスを受け、見た目にもママ友とも関係系においても、一皮むける成長ストーリー。

ママ友とも微妙な空気感などママたちの共感を呼ぶシーンが多いかもしれません。
一転して、二作目の主人公はあかねは見た目にも多少の自信がある主婦。
あかねの少々身勝手な不倫の始まりと終わりを描いたお話。

3作目の主人公美波はイメージコンサルタント・御手洗繭子のアドバイスを受けつつも、最後にそのアドバイスは自分には向いていなかったと考えます。
世の中の求める「女性像の見た目」と一致させることだけはが幸せではない。その結末が1つ混ざっているのはアクセントです。

4作目は、イメージコンサルタント・御手洗繭子自身のお話。
満を持して登場した感。
自分でビジネスを展開してきた彼女は、やはりそれなりにしっかりした考えとビジネスライクな姿勢があってすがすがしいです。
ラストは彼女自身が想定外の困難に立ち向かうことになります。
でも、きっと乗り越えてまた新たなコンサルタントに変貌していくのではないかという期待を感じさせます。

おすすめ度★★★★

4人の女性をそれぞれ主人公にしたオムニバス。
1話目は大筋期待通りながらも、リアルなやり取りや、ありそうな心の動きに共感する部分が多く、2話、3話目は先が読めない展開、4話目は納得感のあるイメージコンサルタント・御手洗繭子自身の話。

たかが見た目、されど見た目。
見た目は見た目だけの話ではなくて、心持ちに影響し、また心持ちが見た目に影響し、相乗効果で人が劇的に変わるのかもしれないと感じさせます。
見た目をモチーフにしつつ、身近にいそうな主人公たちが日常を自分らしく生きるために悩んだり一歩を踏み出したりする作品。

 

美人のつくり方 (PHP文芸文庫)

美人のつくり方 (PHP文芸文庫)