角田光代さんの「愛がなんだ」を読みました。
内容・あらすじ
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!(Amazon内容紹介より)
感想
みっともないくらいの片思い
OLのテルコはどんな用事があってもどんな用事も捨て、一目散にマモちゃんのもとに向かいます。
高校生の恋なら、大学生の恋なら、誰しも1度くらいそんなことがあるかもしれない。
でも28歳でここまでのめり込めるだろうか。
その後先考えなさは、大分にヘビー。
頼むからもっと自分を大事にして! 自尊心を持って! そこまでみっともなくならないで、と声を大にしてさけびたくなる小説でした。
個人的には、テルコの友人たちに共感しつつ、そんなテルコが少しうらやましいかもしれないとちらりと思いました。
子どもへの母親の愛ってそんなものかも
仕事中であっても、マモちゃんに関する用事が発生したら、仕事はあがり、帰る。
しまいには、仕事を辞めてしまう。
子どもの熱で仕事をあがり、育休明け、小1の壁、小4の壁で仕事さえやめてしまう、日本のお母さんたちを思い出しました。
誰かのためにそこまでできる愛。
テルコの愛も、そう考えると少し理解できる気がしました。
おすすめ度★★★
テルコに共感はしきれなかったけれど、でもそれはテルコの愛を小説という形で客観視したからで、本当は、自分主観だったら、こんな部分が多かれ少なかれ愛にはあるのかもしれない。
この愛の原動力ってなんだろう、他人から見たらちょっと理解できないことが確かにあるよな、と考えさせられる作品でした。
映像化も評価が高く、怖いけどみてみたい。