恩田陸さんの「チョコレートコスモス」を読みました。
内容・あらすじ
芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを―。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう!興奮と感動の演劇ロマン。(Amazon内容紹介より)
感想
ガラスの仮面みたいな話だなぁと思っていたら……
芸能一家に生まれ、演技力にも恵まれた響子が姫川亜弓。
素人で一見地味ながら、演技をさせると場を凍らせる存在感を見せる飛鳥が北島マヤ。まるでガラスの仮面みたいなお話だなと思いながら読んでいたところ、解説に、まさに「ガラスの仮面」みたいな小説を書きたかったという、恩田陸さんの言葉がありました。
考えてみれば
- 恵まれた生まれの女の子と
- 一見地味ながら天性の才能のある女の子
この二つだけを条件に無限に物語が展開できる気もします。
しかし、条件設定とそれを面白くリアリティのある物語に展開できるかどうかは別問題。
本書はガラスの仮面の設定を取り入れつつも、よりリアリティなディティールの物語に仕上げられていて、物語のイメージを具現化するのが上手な作者さんなんだな、と改めて感じました。
6番目の小夜子は吉田秋生の吉祥天女をベースとしたものだったことを思い出しました。
蜂蜜と遠雷シリーズにも似ている
クラシックピアノのコンテストを主題とした蜂蜜と遠雷シリーズにも似てると感じました。
いずれもキャラ設定とコンテストやオーディションの進み方の映像的な描写が見事です。
絵を想像しやすい漫画みたいな小説です。
続きの話も読みたい
ガラスの仮面で姫川亜弓派であった私は響子派。
響子の人間味が描かれている部分が好きです。
続きのお話も、気になって読んでしまいそう。
ダンデライオンと、構想中のチェリーブロッサムに続くとのこと。
しかし、2020年現在、未だ未発表。
おすすめ度 ★★★
漫画のような小説。
演技の描写で、演劇が一瞬わかった気になる。
演劇を見に行きたくなった。