どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」を読みました。 ~個性的な殺したちが終結する天下一武道会@東北新幹線

 伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」を読みました。 
マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

内容・あらすじ

前作「グラスホッパー」の続編。

主人公は荒い稼業から足を洗ったはずの木村雄一。
アル中の彼には、高いところから転落して植物状態になった息子がいます。
盛岡に向かう東北新幹線の中で、木村は事故の原因を作った中学生の「王子」に敵討ちをしようとします。
が、あえなく失敗。
逆に王子に監禁されます。
同じ車内には、凄腕の暗殺者・蜜柑と檸檬。
業界内で一番運の悪い七尾。
などなど、殺し屋たちが乗り合わせます。
グラスホッパーに登場した懐かしい面々も。
互いのミッションを遂行するために戦いが始まります。

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!(Amazon内容紹介より)

感想

殺し屋たちの天下一武道会

個性的かつ「強い」殺し屋が次々と出て行くところはさながら天下一武道会のよう。
トーマスが好きな殺し屋、とにかく運が悪い、殺し屋。
人を殺すのが仕事である彼らは本来私たちの日常からかけ離れた世界に住むはずですが、そのどこかに親近感を沸かせるポイントがあり、その日常性に、ちょっととぼけた感じの会話に、気づけば親しみを感じてしまいます。
キャラクターの個性が少年漫画のようで、特に今回は、木村夫妻のジョーカー感がたまりません。

物語前半ちょっと調子に乗っている王子を、木村夫妻が懲らしめる的な展開が、見事でした。
物語序盤からすでに登場していた影の薄いキャラクターが実は……というミステリー的要素、それが木村の両親であるという納得感、誰かこの王子をやっつけてくれないかなとだんだんに募る読者の期待、その全部に応えた心地よい展開でした。

たくさんの人が死ぬのにさらさらしている

たくさんの殺し屋が出てくる小説ですが、人が死ぬシーンはあまりにさらりと書かれています。
この軽さが独特で、いわゆるハードボイルド小説とは一線を画しています。

タイトル「マリアビートル」の意味は

マリアビートル=レディビートル=テントウムシ=七尾とのこと。

おすすめ度★★★

まず、個性の強い登場人物たちに惹かれました。
そして、本シリーズ、登場人物があまりにあっさり死ぬ可能性もあるので、展開が気になり一気に読みました。
途中に挟まれるトーマスネタも面白く、前作グラスホッパーに出てきた登場人物が出るとうれしくなり、と細かなサービスも満点。
キャラクターと展開と細かな読者サービスと、行き届いていると感じます。
さらりと面白く読めてしまう作品でした。

本作は三連作のシリーズの二作目。引き続き「AX」を読みたいと思わせました。

 

グラスホッパー (角川文庫)

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マリアビートル (角川文庫)

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AX アックス (角川文庫)

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