佐藤航陽さんの「お金2.0」を読みました。
タイトルと、広告を見て、 仮想通貨のことなんかが書いてあるのかな、稼げる方法が書かれているのかな、と想像していました。
仮想通貨のことも少しは触れられていますが、 もっと生き方とかなんだろうとか、お金ってなんだろうとか、考えさせられる本でした。
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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著者について
著者の佐藤さんは早稲田大学在学中に起業し 、実際に会社を経営したり、自社の株式を公開したりしている方です。
日々の経理から資金繰りなど、リアルに、密接にお金と付き合いのある方です。
佐藤さんのご家庭はお世辞にも裕福とは言えず、小さい頃からお金について意識する機会が多かったそうです。
本書は「お金や経済とは何なのか」その正体を多くの人に理解してほしい、そんな思いで書かれたそうです。
内容のメモと感想
お金にはならないけれど価値のあるもの
本書を読んで一番印象に残ったことは、資本主義が考える価値と世の中の人の考える価値あるものの間に溝ができていて、「お金よりもお金にはならないけれど価値のある物ってあるよね?」と、多くの人が考え始めているということです。
で、そうするとお金はどうなるのでしょうか。
「価値主義」
これまではお金が価値を媒介する唯一の手段でしたが、価値を交換する手段はお金である必要がなくなっていると著者は指摘します。
ここで例に上がっているのが Twitter のフォロワーが100万人以上いる人。
このような人が何か事業をやりたいと考えた時に、彼はタイムライン上で仲間を募りクラウドファウンディングを通して資金を募り、分からないことがあれば仲間に知恵を借りられます。
ここで彼は、「他人からの注目」という価値を持っていると著者は指摘します。
ツイッターのフォロワーが100万人以上いる彼はこの「他社からの注目」という価値を好きなタイミングで人脈や金や情報という別の価値に転換することができるのです。
著者はこの流れを資本主義ではなくて「価値主義」と呼びます。今後は可視化された資本ではなくてお金に変換される前の価値を中心とした世界に変わっていくと著者は予想しているそうです。
自分は相手に何をあげられるのか
ミニマリストが増え、家族との時間を大切にするために早めに帰宅する人が増え、確かに世の中の流れは、お金にはならないけれど価値のあるものを大切にするようになっていると感じます。
もしもこれから、著者の言うようにお金の価値が徐々に下がり、お金では評価できない価値が重要になってくるとしたら、それもいつかお金のように数値で指標化されるのでしょうか。
著者が本の中であげている Twitter のフォローは Facebook のいいねなどは新しいお金以外の価値の指標の一つと言えるかもしれません。
そして、今後はそれが「お金」の一種になり、交換可能になっていくのかもしれません。
もしそうなっていくとしたら、私たちは欲しいものを得るために新しい「お金」を稼がなければいけません。つまり、自分自身の価値を上げていかなければいけません。
自分自身の価値ってどうやってあげればいいのでしょうか。
そう考えると、価値とは、相対的なもので相手に評価してもらって初めて生じるものですので、「相手に何をgiveできるか」それが大切なことになるのではないかと感じました。
それはスキルだったり、知恵だったり、経験だったり、情報だったり。
あるいは、そういうものを惜しみなく公開することで、人徳のような価値を蓄積できるかもしれません。
私たちは日々の生活の中で意識的、戦略的に目に見えない価値を蓄積して、自分の欲しいものと交換する。そんな社会になるのかなと考えさせられました。
お金という概念の次元を変える本でした。
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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