どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

マイケル サンデルさんの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」を読みました。~優秀な学生は自分の功績を実力と勘違いしている

マイケル サンデルさんの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」を読みました。

 

実力も運のうち 能力主義は正義か?

実力も運のうち 能力主義は正義か?

 

 

概要・あらすじ(Amazon内容紹介より)

ハーバード大学の学生の三分の二は、所得規模で上位五分の一にあたる家庭の出身だ。にもかかわらず、彼らは判で押したように、自分が入学できたのは努力と勤勉のおかげだと言う――人種や性別、出自によらず能力の高い者が成功を手にできる「平等」な世界を、私たちは理想としてきた。しかしいま、こうした「能力主義(メリトクラシー)」がエリートを傲慢にし、「敗者」との間に未曾有の分断をもたらしている。この新たな階級社会を、真に正義にかなう共同体へと変えることはできるのか。超人気哲学教授が、現代最大の難問に挑む。解説/本田由紀(東京大学大学院教育学研究科教授)

内容のメモ

アメリカンドリーム

東大生の家庭は裕福。のアメリカ版。
アメリカは日本よりも資産の流動率が低いとのこと。
ヨーロッパの方が所得の流動性が高く、中国の方が、子が親よりも所得が高くなる確率が高い。
アメリカンドリームはもはやアメリカでは成り立つ可能性が低く、コペンハーゲンでの方が成り立ちやすい。

優秀な学生は自分の功績を実力と勘違いしている

ハーバード大学の学生が自分が入学できたのは努力と勤勉のおかげだと本気で思っているだろうし、それは自然なことだと思ってしまう。
本書は、それが奢りである可能性を指摘しています。

寄付とスポーツ選手枠とくじ引き

大学への寄付、少しでもレベルの高い大学に入るための、親の子どもに対する過干渉、それが引き起こす若者の精神的独立性のなさ。こうした一続きの社会問題、日本でも、そして自分の家庭でも他人ごとではないと感じました。
 
スポーツ選手枠は、そもそもそのスポーツをやるのに裕福であることが要されるスポーツに設定されているとか、オープンなルールとして寄付金が重要な因子であるとか、もはや大学への入学権にくじ引き的要素を混ぜない限り、流動性の低さは是正されないのかもしれません。

おすすめ度 ★★★★

アメリカの社会的流動性がここまで低いこと、はじめて認識しました。

恵まれているときほど謙虚さを忘れてはいけないのだと、改めて。