どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

【kindle unlimited】村上和己さん著、中山 祐次郎さん監修の「二人に一人がガンになる」を読みました。~癌は風邪よりも治療のガイドラインが明確な病気

 

村上和己さん著、中山 祐次郎さん監修の「二人に一人がガンになる」を読みました。

概要

ガンにかかってあわてないために、正しい知識と治療法を知っておこう!

何かと話題になる機会の多いがん治療ですが、がんの治療自体が、日々情報が更新され、難解かつ専門的な記事も多く、現状でどこまで治療法が進んでいるのかわかりません。
なかには「がんはもうすぐ不治の病でなくなる」といった声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか<? br> また、画期的な最新医療が生れても富裕層しか治療を受けられないのではないか?という「がん治療格差」なども不安視されています。
そもそも、がん治療とはどういうもので、どういった種類があり、どこまで進んでいるのか、「二人に一人がガンになる」と言われる今、話題になる最先端治療はどこまでが現実になっていて、がんは本当に撲滅されるのでしょうか
本書では、医療ジャーナリストによる俯瞰した目と専門医の監修により、がんとその治療法について知っておくべき知識について解説します。(Amazon内容紹介より)

内容のメモと感想

2019年現在の、一般向け癌治療の教科書的な本

癌について特に知識を持っていない一般的な人に向けて書かれた、癌の治療についての教科書的な本。
非常に分かりやすく癌治療を概観したい一般の人におすすめです。

標準治療の意味~癌は風邪よりも明確にガイドラインが定められている

癌の治療については色々な情報が錯綜しています。
もし自分や家族が癌になってしまったら、氾濫する情報の中から最適な情報を選択できるかどうかが心配です。
本書にはがん専門医が行う「標準治療」が、現在考え得る最高・最良の治療法であることが書かれています。
癌には各医学系学会の経験値の高い専門家で構成される委員会によって決められた診療ガイドラインが定められているそうです。
診療ガイドラインは、専門家によってエビデンスレベルの高い論文に基づき、合意が得られて作成されたもの。
つまり、原則このガイドラインが現在行い得る最も合理的な治療法であるとのことです。
ガイドラインで具体的に病状や治療法が書かれているにも関わらず、医師がガイドラインとは異なる治療を実施する場合は
・医師側からその不利益を含めて患者さんに説明することが一般的で、
・仮にガイドラインから離れた治療を行って患者さんが不利益を被った場合、医師側がそれを科学的合理的に説明できなければ、訴訟で有罪になる可能性もあるとのこと。
診療ガイドラインに従うということはそれだけ重要なものであるということです。
例えば、私たちは風邪にかかると病院に行って薬を処方されますが、風邪の場合は医療機関によって処方される薬の種類や処方の日数が違うこともあります。
これは風邪には診療ガイドドラインがないことも理由の一つであるとのこと。
癌は風邪よりもガイドラインが明確に定められている病気なのだそうです。

この本もすぐに古くなるかもしれない

癌の治療によって、頭髪が抜けることはよく知られています。
これについて、現在は頭皮の血流を抑える冷却効果のある帽子をかぶることで、これを抑制するという方法があるそうです。
このようにがんの治療に対しては日々様々な技術が生まれているのも事実。
2019年に発刊されたこの本も、すぐに古くなってしまうかもしれないし、それはそれで癌の治療技術が進歩したという喜ばしいことであるとのことが書かれていました。
数年おきに、このような癌の教科書的本が出版され、一般の人にもその時の癌の最新治療について、学べるとありがたいです。

おすすめ度★★★★★

先日本書の監修の中山 祐次郎さんの小説を読んだことをきっかけに本書を手に取りました。

泣くな研修医 (幻冬舎文庫)

泣くな研修医 (幻冬舎文庫)

 
逃げるな新人外科医 泣くな研修医2 (幻冬舎文庫)

逃げるな新人外科医 泣くな研修医2 (幻冬舎文庫)

 

また、本書の監修には「発信する医師団」という名前がありました。

発信する医師が集まって形成された、医療情報発信のプロ集団。主宰は医師の中山祐次郎。メンバーには現役医師・医学生のほか、テレビ・新聞・ウェブメディアのメンバーも含まれる。今回の監修メンバーは山本健人、西智弘、大野洋平、横山太郎、福田芽森(順不同)。

多忙な現役のお医者さんたちが、信憑性のある情報発信をしてくれるのは、情報が氾濫する世の中で、ありがたいことだなと思いました。

そして、本書はとても分かりやすく書かれいるという点で、良書でした。