あらすじ・内容
コロナに脅かされる首都・東京の命運を担う政治家・小池百合子。
女性初の都知事であり、次の総理候補との呼び声も高い。
しかし、われわれは、彼女のことをどれだけ知っているのだろうか。
「芦屋令嬢」育ち、謎多きカイロ時代、キャスターから政治の道へーー
常に「風」を巻き起こしながら、権力の頂点を目指す彼女。
今まで明かされることのなかったその数奇な半生を、
四年の歳月を費やした綿密な取材のもと描き切る。
〔目次より〕
序章 平成の華
第一章 「芦屋令嬢」
第二章 カイロ大学への留学
第三章 虚飾の階段
第四章 政界のチアリーダー
第五章 大臣の椅子
第六章 復讐
第七章 イカロスの翼
終章 小池百合子という深淵
(Amazon内容紹介より)
内容のメモと感想
都知事選の前に都民が一読すべき本
小池百合子いう1人の人間にとことんまで迫った一冊。
ご両親のこと、子供時代のこと、そして、カイロ時代、キャスターを経て政治家になった今までを手を尽くした取材で調査したものです。
本書は企画から完成までに3年半の月日を要したとのこと。
ノンフィクション作家は常に2つの罪を背負うという。
1つは書くことの罪である。もう1つは書かぬことの罪である。後者の罪をより重く考え、私は本書を執筆した。
あとがきにあるように、著者の石井さんは、知ってしまった真実を国民、都民に知らせなければならないという責任を感じ、本書をかかれたとのこと。自らに不利益があるかもしれないといリスクを承知で、告発のために、という印象です。
カイロ大学時代に同居した女性が語る、大学時代のエピソード。
そして、何度か取りざたされた卒業証書の検証。
一貫性のないその場を取り繕うための発言の数々が、多くの人の口から語られます。
子ども時代の家庭環境や、芦屋という土地についての育ちと、その後のエピソードの因果関係も見え、まるで長編小説を読んでいるかのようでした。
コロナ対応で、メディアへの露出が増えている小池知事。
都民にできるだけわかりやすく説明してくれているように見え、
彼女に疲れが見えれば、都民のために一生懸命尽くしてくれているように見えます。
人間がいかにその場の感情で人を判断するか、考えさせられます。
迅速に受けが良い対応ができるかどうかと、長い目が必要なテーマに誠実に取り組むことは全く別のことで、後者が難しいし、後者ができる人間かどうかを見抜くこともまた、難しいものだと思いました。
おすすめ度★★★★
都民は一読すべき本。
小池さんについて知る本ということはもちろん、ノンフィクションで人を知るということについて考えさせられます。
人はその場限りの人当たりのの良さ・悪さで印象を左右されがちですが、
本質はエピソードから明らかになる、行動と発言の一貫性、そして、その証拠から知るべきなのかもしれません。