垣谷美雨さんの「禁煙小説」を読みました。
内容・あらすじ
どこに行っても喫煙者には肩身の狭い時代になった。
主人公の早和子は、禁煙にチャレンジしつづけて二十年経つが、未だにタバコへの依存から抜けられない。
しかし会社の数少ない喫煙女子社員が次々に禁煙し、いよいよ本気を出すことに。
禁煙本も禁煙ガムもニコチンパッチも挫切した彼女だが、意を決して禁煙外来の門を叩く。果たして早和子は禁煙に成功するのだろうか。(「BOOK」データベースより)
感想
吸いたい気持ちがリアル過ぎる
これ、著者は絶対に禁煙したことあるな。
そう確信させる、描写のうまさでした。
喫煙仲間が少なくなっていく中、禁煙に失敗する早和子が、自分が嫌いになり嫌悪感を感じるところ。
禁煙中に、コーヒーショップでタバコを吸うところ、そのおいしさを想像するところ。
非常にリアルでした。
中でもコーヒーの後のたばこはとても「うまそう」に描かれています。
タバコをすわない私でも、そうしたら気持ちいいんだろうな、、、と思えるくらい、リアルな表現でした。
依存症からの脱離
タバコに限らず、カフェインや甘いものへの依存を断ち切るときに再読してみたい小説。
そのときには、5章の禁煙日記が参考になりそう。
1日め、◯本。そして、0ではなくても、自分をほめる。
2日め、◯本。体調や気持ちの変化を、ただ記録する。
徐々にタバコをやめてよいことに気づく。そして…
すごい、デトックス感。
早和子の成長物語、心地よく感じました。
おすすめ度 ★★★★
脱離の過程の描写のリアルさに脱帽。
依存症からの脱離を考えている方におすすめの小説。最後の章が意外でよかった。
あなたの人生片付けます、然り、本書も実用書と小説の中間的存在、と感じました。