「母ふたりで“かぞく”はじめました」を読みました。
内容・あらすじ
本書の著者、小野春さんはバイセクシャル。
1度は男性と結婚し、子供を授かりますが、その後離婚。
離婚後に女性のパートナーと人生を歩みます。
今ではLGBTという言葉も随分認知されるようになりましたが、それはずいぶん最近のこと。
春さんは2019年の本書出版時にアラフィフとのことですので、ざっくり50として、1970年前後生まれぐらいでしょうか。
つまり、本書はその数十年の社会での、少数派の生きにくさが書かれた自伝的エッセイです。
感想
結婚しないということは100の社会保障を受けられないと言うこと
LGBTが社会的にそこそこ認知されるようになればそれでシャンシャンなのか。
いや、そうではありませんでした。
結婚するということは、法律に基づく社会保障が受けられるということ。
結婚の意味はそこにこそあるということ、ああそうかと初めて認識しました。
逆に結婚できなくても何らかの社会保障が受けられれば、それでいいのかもしれません。
フランスなど、事実婚が社会的に認知されている国ではどうしているのでしょうか。
母2人での子育て楽しそう
本書の意図とは違うのかもしれませんが、違ったタイプのお母さん2人で家事育児をずるのはなんだか楽しそうだなと思いながら読みました。
なぜか、男女のカップルだと孤育てになりがちですが、お母さん2人であればそうならないような気がしてしまいます。
どっちかのお母さんと上手くいかなかった時にもう一人お母さんがいて相談にのってくれるなんて子供としては最高だし、親としても、もう1人のお母さんに安心して任せることができそうで、どんと構えられそう。
親への告白のしんどさ
自分の両親にLGBTであることを肯定してもらえるかどうか。
ここが人生がさらにハードモードになるか、イージーモードになるかの瀬戸際。
母親に認められなかった春ちゃんは、めまいなどの体調不良が出て倒れてしまいます。
すごく大きなストレスを受けていたと言うのが印象的です。
そしてお父さんの否定の仕方もすごい。
両親の理解、ここ大きなポイントなのだと改めて。
素敵な結婚式
同性婚を認めてくれるホテルを探すところから、衣装を決めるところまで。
全て自分達のオリジナルという感じで素敵な結婚式を作り挙げられています。
著者がウエディングドレスに合わせ、真っ白な革のルームシューズを履いていたというエピソードが印象的。
おすすめ度★★★
マイノリティーの生きにくさが紆余曲折さが小説のよう、かつ、リアルに描かれた本。