どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

瀧羽麻子さんの「うさぎパン」を読みました。~優しく安全な物語。

瀧羽麻子さんのうさぎパンを読みました 2019/10/21

 

うさぎパン (幻冬舎文庫)

うさぎパン (幻冬舎文庫)

  • 作者:瀧羽 麻子
  • 発売日: 2011/02/09
  • メディア: 文庫
 

 

内容

お嬢様学校育ちの優子は、高校生になって同級生の富田君と大好きなパン屋巡りを始める。継母と暮らす優子と両親が離婚した富田君。二人はお互いへの淡い思い、家族への気持ちを深めていく。そんなある日、優子の前に思いがけない女性が現れ……。書き下ろし短編「はちみつ」も加えた、ささやかだけれど眩い青春の日々の物語。(Amazon内容紹介より)

感想

優しい優しい物語

主人公の優子はパンが好き。そして、同級生の富田くんもパンが好き。
2人は全粒粉のパンや、ライ麦を使ったパン、くるみやドライフルーツの入ったパンなど、ちょっとハードなパンがお好き。パンの好みも似ています。
パン屋さんを見つけ、公園で食べるデートが続きます。
1度は喧嘩のシーンがありますが、お互いが素直に謝ります。なんとも感じの良い2人の優しい優しい物語。
「パン」、「うさぎパン」という言葉のイメージ通りの、ふわふわした作品。

きらりと光る美和ちゃん

優子の家庭教師である美和ちゃんのキャラクターが光っています。
美和ちゃんはとても自由。
素敵な恋人、村上さんという人がいながらその存在を忘れてしまうこともあるとのこと

「たまにあの人のことを忘れてしまいそうになる」
私は絶句した。
「それってひどいことじゃない?」

誰にも行き先を告げずに1人旅に出てしまったり、携帯の充電を怠って何日も音信不通になってしまったりする自由人美和ちゃん。
そんな自由な美和ちゃんは村上さんに絶対の愛を注がれていて、そのことにも安心感を覚えます。
自由でいながら、確保されている絶対の愛。ジョーカーのような存在です。

死んじゃったお母さん聡子の言葉

優しい優しい本書の中でメッセージ性を託されたと感じた言葉が聡子さんの言葉。
1度だけ、優子が富田くんと喧嘩してしまった時に聡子さんはすぐ仲直りしろと説得します。

その人のことで頭がいっぱいになるような、そんな相手に出会える確率ってそんなに高くないのよ?
絶対に逃しちゃダメよ、
人生は短いんだから後になってあの時こうしておけばよかったと思っても遅いのよ
明日にでもきちんと謝りに行きなさい

 

この畳みかけるような説得。
死んでしまった人の言葉であり、お母さんの言葉であり、しっかりした力があります。これをきちんと受けとめた優子の素直さがまた、この物語の安心感と健全性につながっているのだと感じます。

おすすめ度 ★★★

 

うさぎパン (幻冬舎文庫)

うさぎパン (幻冬舎文庫)

  • 作者:瀧羽 麻子
  • 発売日: 2011/02/09
  • メディア: 文庫
 

 

初めて、瀧羽麻子さんの本を読みました。
癒されたい時、優しい気持ちになりたい時に読みたい軽めで安心感のあるお話。