島本理生さんの「ファーストラヴ」を読みました。
内容(「BOOK」データベースより)
◆第159回直木賞受賞作◆
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。
彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。
環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。
環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。
なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。
そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは?
「家族」という名の迷宮を描く長編小説。
感想
家庭内の虐待「母からトラウマを受けない娘はいない」
こども、特に女の子への「虐待」がテーマのひとつである作品。
確か、辻村深月さんの小説(ゼロハチゼロナナ)の解説で、島本理生さんが、「母からトラウマを受けない娘はいない」という意味の言葉を語っていたのを思い出しました。(母親に傷つけられない娘はいないだったかもしれません。)
もしも自分に娘がいたら、きっと、何らかの形でトラウマを追わせてしまうのではないかと感じました。
エンターテインメント性が強い作品
徐々に真相が明らかになっていくあたりミステリーの様相もあり、一気に読んでしまいました。
さすがの直木賞受賞作品。
これまでのところ島本理生さんの作品の中では、「ナラタージュ」が一番好きですが、ファーストラブは、「ナラタージュ」より、エンターテイメント性、大衆受けという点では上かもしれないと感じました。
これまでの作品とは、少し色が違います。
義兄弟との関係性
夫の弟くんと、主人公との関係性の描かれ方が、著者ならでは。
ここは、これまでの作品と同じ空気を感じました。
おすすめ度 ★★★★