どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

柚木麻子さんの本14冊のまとめと、私的おすすめ3冊。

2019年に入ってから柚木麻子さんにはまりました。

まず、知り合いの紹介で、早稲田女、女、男をよみました。
なるほど、各大学の女の子の特徴が上手に描かれているなぁと感心。

次に柚木さんの本に興味をもって、大人気のアッコちゃんシリーズを楽しく読破。

続いて、ナイルパーチの女子会のリアルな女同士の関係に嘆息。

その後、王妃の期間、終点のあの子で女子高時代の雰囲気に懐かしく浸り……と、柚木麻子さんの作品を一気読みしました。

あー面白かった!

本記事では柚木さんの作品をタイプ別に紹介、私的感想をメモしております。
最後に私的おすすめランキングをまとめています。
読書の道しるべになれば、幸いです。

著者について

柚月さんご自身は立教大学のご出身。

大学時代から脚本家を目指して、シナリオセンターに通い、ドラマのプロットライターを務められたそう。

大学卒業後は製菓メーカー、塾講師、契約社員等のお仕事をしながら小説の賞に応募し、新人賞を受賞されました。

「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞。ナイルパーチの女子会で山本周五郎賞を受賞。(Wikipediaより)

女子の人間関係の描き方、そして食べ物の描写が素敵な作者さんです。

ご自身が女子高出身であること、製菓メーカーでお勤めのご経験があることとが、きっと関連しているのですね。

以下、作品を紹介していきます。

 

女子高出身の方にお勧めの本

以下の3冊は女子高が舞台になる作品。
女子高あるあるを懐かしく思い返しつつ、女子高ドラマに魅せられます。

 

王妃の帰還

 

王妃の帰還 (実業之日本社文庫)

王妃の帰還 (実業之日本社文庫)

 

女子高のカーストヒエラルキーが描かれた作品。
主人公範子の属する地味なグループに、友人と喧嘩した、王妃こと派手なグループに属していた滝沢さんがやってきて……ラスト大好きです。

煙たい後輩

けむたい後輩

けむたい後輩

 

強く強く、女の先輩に憧れる女の子とその先輩を描いたお話。
高校のとき、同性の先輩に強くあこがれた経験はないでしょうか。
それほどまでに惹かれたのかは、今はわかりません。
偶像だったのかもしれません。
その偶像も女子高生であったのです。
そんな恋みたいな先輩へのあこがれを懐かしく思い返した作品でした。

 

終点のあの子 (文春文庫)

終点のあの子 (文春文庫)

 

どの作品にも通じますが、女子高のクラスの雰囲気が上手にえがかれた作品でした。
例えば、お弁当を誰と食べるか問題。
個人的に仲が悪いわけではないけれど、グループ間に存在する微妙な壁。大人になった今、思い出は風化され、女子高は楽しかった過去となっていましたが、この本を読んで、色々と痛い過去もあったなぁとつくづく思い出しました。

理由や心の中はどうあれ、女子高の中で誰ともつるまない1匹オオカミは、やっぱりかっこよく見えます。

働き女子におすすめの本

アッコちゃんシリーズ(ランチのアッコちゃん、3時のアッコちゃん、幹事のあッ子ちゃん)

アッコさんは主人公の部署のデキる上司。
ズバズバ言うものいいは、ちょっと怖いけど清々しくて、たまにちらりと見せる優しさには参ってしまいます。
こんな上司いたらいいな(でもちょっと怖いか……)。
物語が進むにつれ、ジョーカーのようにちらりと登場するアッコさんに萌えです。
仕事にちょっと疲れた働き女子にお勧めの作品。

 

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

 
幹事のアッコちゃん

幹事のアッコちゃん

 

 

3時のアッコちゃん (双葉文庫)

3時のアッコちゃん (双葉文庫)

 

 

 その手を握りたい

 

その手をにぎりたい (小学館文庫)

その手をにぎりたい (小学館文庫)

 

バブル期のOLが主人公の作品。
主人公は自分の給料には見合わない、高級なお寿司やさんの常連となります。
こういう贅沢、行きつけの店という存在、素敵です。
主人公と寿司職人は、表面上はあくまで客と寿司職人としてかかわりつつ、その内面は……。
お互い心の中に色々な想いを絞めつつ、表面上は客と職人として静かに向き合うというシチュエーションは、もどかしさがたまらないですね。このシチュエーションが書きたかったのかな。
そして、この作品のお寿司の描写は素晴らしいです。

女友達って難しいな……と思う人にお勧めの本

あまからカルテット

あまからカルテット (文春文庫)

あまからカルテット (文春文庫)

 

女子高出身の仲良し4人組、30代を目前にした女性たちのお話です。
このお話は、多少は喧嘩でてくるけれど、女同士のドロドロした痛さは少なく、女友達の明るい面がたくさんでてくる、安心して読める?作品です。
花火大会で出会った、「君の名は」状態の彼を探す話など、ミステリーの要素もあってサクサク読めます。
最初の短編でキーワードとなるのはおいなりさん。この描写もまた素敵。
お稲荷さんが食べたくなります。

ナイルパーチの女子会

 

ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

 

大人になってから女友達を作るのって難しい。
子どもの頃は近所に住んでいる子と、学生時代は同じクラスの子と、自然に友達になり、会社に帰ってからは同期の女の子との女子会に参加したことも多々あります。
で、そのあとは?
誰もが感じる大人の友達の始め方がテーマの作品。
本書の主人公は30代女子。
同性の友達がいない2人の女子が急速に仲良くなっていく様子は心温まります。
ところが……急速に距離を縮めた2人になにが? 女の友情のリアルが描かれた作品です。

本屋のダイアナ

 

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

 

ダイアナと彩子。
2人の女の子が少女から大人になるまでのドラマを描いた作品です。
物語はダイアナの視点から描かれたり、彩子の視点から描かれたり、かわりばんこに繰り返されます。

素敵なお父さん、お母さんがいて、本がたくさん読める。
理想的な家庭環境に育ったと思われる彩子に訪れる事件。探し求めていたお父さんと出会うダイアナ。
どちらも理想通りにはいかず、ああ、女の子が生きていくって本当大変……。
そんな時に呪いから自分も解き放つのは自分しかいない。
それが大人になるってことなのか。

ダイアナと彩子は長く別々の時を過ごします。
だからこそ、ダイアナと彩子が仲良くするシーンは、離れ離れになっていた恋人が再開するかのような、春の幸せ感を感じます。

早稲女に、早稲女を知る人に読んでほしい本

早稲女、女、男

 

早稲女、女、男 (祥伝社文庫)

早稲女、女、男 (祥伝社文庫)

 

早稲女だっていろいろいるし、慶女だっていろいろいるはずなんですが、なぜか、ああ、早稲女ってそうだよね、慶女ってそんなイメージだよねって納得できてしまいます。
早稲女のだささとか、要領の悪さが上手に描かれた作品です。
女同士というだけで、価値観はこれほどまでに違うわけです。
大学の特色・風土を活かした違ったキャラの女の子が交錯する物語。面白いです。


作家・脚本家・クリエイターを目指す人におすすめの作品

伊藤くん、AtoE

 

伊藤くん A to E

伊藤くん A to E

 

物作りというものは、自分が真剣に面白いというものを出して人に批判されるということを繰り返すという、本当に痛い面があるのではないかと思います。
伊藤くんはそんな痛さや全力勝負から逃げちゃってるけど、なぜか女が途切れない人。ああ、いそう。
というか、誰の中にも伊藤くんがいるのかも。
伊藤君を取り巻く女の子たちがリアルです。
なぜ伊藤くんに惹かれるのか、本という客観的な視点で見ているとなぞですが、現実には、結構あるんだろうなぁ。

私にふさわしいホテル

 

私にふさわしいホテル (新潮文庫)

私にふさわしいホテル (新潮文庫)

 

主人公は非常に貪欲な思いを持つ作家。
あまりのガツガツさにとても感情移入できないと思ったけれど、まっすぐに目的に向かっていく姿には、なぜか清々しさを覚えます。
最初はちょっとついていけないかなーと思っても、ぜひ真ん中ぐらいまで読んでみてください、多分一気に読めます。
朝井リョウさんとか、現実に存在する作家さんがチラリと登場するのもちょっとサプライズです。

ミステリーな作品

ねじ巻き片思い

本作は創元推理文庫から出版されており、ミステリー要素のある作品。
主人公の無駄なまでの(!)片思いに、うずうず(いらいら)させられますが、主人公のおもちゃ作りや、やると決めたことへの執念は、かっこいいと清々しさを感じます。一途なかっこいい女性が出てくるのも柚木作品の魅力ですね。

これから読みたい本

BUTTER

 

BUTTER

BUTTER

 

 読了していない本がこちら。まさに今読み始めたところです。高級バターをポチしそうになっております。

個人的おすすめ

私的には、以下の3冊が特におすすめです。

1位 王妃の帰還

 

王妃の帰還 (実業之日本社文庫)

王妃の帰還 (実業之日本社文庫)

 

女子高のヒエラルキーのリアルさ。
女子高の中で、好きなものを好きといい、上手に生きていくことができるか。主人公や周りの子たちを心から応援したくなります。


2位 その手を握りたい

 

その手をにぎりたい (小学館文庫)

その手をにぎりたい (小学館文庫)

 

 

主人公と、お寿司屋さん、寿司職人の関係が素敵です。最後の章は賛否両論もあるかもしれません。私はカウンターから出てくる寿司職人の姿、見たかったです。

3位 本屋さんのダイアナ

 

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

 

 

まずダイアナに、次に彩子に感情移入しました。
そして2人の感性の違う女の子のそれぞれのお母さん。
4人ともいいなと思います。4人の感性の違い、よい感じに描かれているなと感じます。

2人にはそれぞれに素敵なところのあるお母さんがいて、お母さん達はお母さん達なりの子育てをしているのですが、やはり子供の人生は子供が切り開いていくんだなと、2回目は特に、なんだか母親目線で読んでしまいました。

女の子の子供がいたら、是非子供に読んでほしいなと思います。

以上、この1月、柚木さんの作品のおかげで楽しい通勤時間を過ごせました。
女子高、女友達、食べ物描写。
柚木作品、こんなキーワードにピンとくる方におすすめです。