どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

辻村深月さんのデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」を読みました。

辻村深月さんの「冷たい校舎の時は止まる」を読みました。

 

 

 

 

本書は、辻村深月さんのデビュー作。第31回メフィスト賞を受賞した作品です。

あらすじ

本書の舞台は東京から少し離れた雪降りしきる地方都市。
おそらく辻村深月さんの出身地である、山梨県

メイン登場人物は大学受験を控えた8人の高校3年生。
彼らは青南学院高校の3年2組の学級委員です。
そして、3年2組の担任の先生も、重要な役割を果たします。

ストーリーは著者と同名の「辻村深月」の視点から始まります。
受験を控えた高三のある冬の登校日。
深月は幼なじみの鷹野博嗣とともに雪に濡れながら学校に向かいます。
教室についた彼らは違和感を感じます。
生徒が少ないのです。
先生も姿を見せません。
その日に登校したのは3年2組の学級委員8人だけのようでした。
家に帰ろうとしても校舎のドアが開きません。
校舎を探索する中、彼らは気づきます。

学校から出れない。

入ってきたはずの玄関のドアが開きません。

去年の秋に自殺したクラスメイトの名前が思い出せない。

しかも、自殺したクラスメイトは、この8人の中にいるらしい。
どうやら自分たちは8人のうちの誰かの頭の中に作り出された世界に閉じ込められてしまったようなのです。

果たして去年自殺したクラスメイトとは誰だったのか、自分たちは誰が作り出した世界に閉じ込められてしまったのか。

物語の後段では、作者から解答用紙が提示されます。
曰く、「僕たちが忘れてしまった、あの日死んだ僕のクラスメイトの名前を教えてください。どうしてそう考えたのかを教えてください。」
解決編では、その答えが明らかになります。
本書はミステリーではありますが、8人の高校生たちの過去・心理描写も丁寧にされた青春小説とも言えそうです。

感想~ネタバレあり~

登場人物の1人が「辻村深月さん」

ミステリーの世界では、有栖川有栖さん、法月倫太郎さん、さらにはエラリー・クイーンなどが自身の名前を登場人物に使っています。
著者自身が登場人物となっていることで、読者が住む現実の世界と本の中の世界が地続きになっているような感じがします。
ご自身の高校生活のイメージが投影されているのですね、きっと。
「本の中の辻村深月さん」には、実際の「辻村深月さん」の性格だったり、外見だったり、立ち位置だったり、何かが投影されているのではないかなと感じます。

青春小説であり、ミステリー

8人の過去や心理描写が丁寧にされている青春小説でありながら、謎解きの要素が多いミステリーなので一気に読ませられます。

辻村さんは名前のミスリードを使用されることが多いですね。
そういえば、「名前探しの放課後」の椿ちゃんも本書の榊君と同じトリックでした。
叙述的なだましがお好きな作者さんです。

 

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

 

 

 

名前探しの放課後(下) (講談社文庫)

名前探しの放課後(下) (講談社文庫)

 

他の作品との関連

公式の登場人物相関図によると、本書の主人公たちの一部は、「ロードムービー」、「光待つ場所へ」にも登場するようです。

辻村深月ワールド人物相関図


読書の順番としては本書「冷たい校舎の時は止まる」、「ロードムービー」「光待つ場所」順に読むと良いようです。

 

ロードムービー (講談社文庫)

ロードムービー (講談社文庫)

 

 

 

光待つ場所へ (講談社文庫)

光待つ場所へ (講談社文庫)

 

 
また、本書「冷たい校舎の時が止まる」の下巻に登場する天木くんは、名前探しの放課後の主人公の1人の天木くんと同一人物ですね!
彼らは同じ都市に住んでいるようです。

冷たい校舎の時が止まるの記憶がフレッシュなうちに「ロードムービー」と「光待つ場所へ」を読んでみようと思います。

 

 

 

 

 

 

ロードムービー (講談社文庫)

ロードムービー (講談社文庫)

 

 

 

光待つ場所へ (講談社文庫)

光待つ場所へ (講談社文庫)