どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

辻村深月さんの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」を読みました。

辻村深月さんの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」を読みました。

 

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

 

 あらすじ

本書は地元を飛び出した娘みずほと、地元に残った娘チエの物語。
みずほは子供の頃に母親に虐待とも言えるほど厳しい教育を受け、それをトラウマとして抱えています。
一方、チエとチエの母親は度を超えて仲よし。
みずほはそんなチエの母親が決して嫌いではありません。
小学生の頃こそ微笑ましい関係に思えたチエとチエの母親ですが、2人の共依存は30歳になっても続きます。
合コンに行けば、途中経過を母に電話で細々と報告するチエ。そんなチエの様子は周りの女子を苛立たせることも。
母親との関係がそれぞれ「普通」ではないではない、みずほとチエ。
30歳になった2人の人生にはそれぞれの母親の影響が色濃く残ります。
そんなある日、チエは母親を刺し姿をくらましてしまいます。
ジャーナリストとなったみずほは、チエを追います。
なぜ、チエは母親を刺したのか、そして、なぜ逃げたのか。
母と娘の関係、そして幼なじみの女同士の友情を描くとともに、ミステリーの要素も色濃い作品です。

感想

女は露骨な悪女よりも無自覚な同性を厭う傾向がある。
本書の解説の島田理央さんの言葉です。

本書を読んでいて、私もチエに、やはりイライラしました。
でも、幼馴染であるみずほはちえに真正面からそのイライラをぶつけたことはないようです。
幼馴染だからチエを甘やかしている部分もあるのかもしれません。
チエは、家族と、みずほのような優しい友人とに囲まれているだけでは、家を出て、理想のお嫁さんになることはできませんでした。
小学生時代のチエとチエの母親とチエの父親の関係は一見理想的に見えます。
それを30歳まで続けることには何が問題だったのでしょうか。
事件が起こってしまったのは母親のせい? チエのせい?
女の子にとって理想の母親とはどんな母親なのでしょうか。
読んでいて感じたのは、子供にトラウマを与えない完璧な母親というものはあり得ないのではないかということです。
世の中の、女の子であった女性は誰もがそのトラウマを抱えて生きている。
母親に傷つけられない女の子はいない。
そんなことを考えさせられた作品でした。

女の子が欲しかった。
そう思うときもあるけれど、こんな作品を読んでしまうと、また違った苦労がありそうだなと、億劫だなという気持ちが湧いてきてしまいます。。。

 おすすめ度 ★★★

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)