内容・あらすじ
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。
彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。
うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。
遺された千花が秘匿するある事情とは?
機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。(以上、Amazon内容紹介より)
旦那さんを亡くし、その後家に帰ってきた「鹿野くん」と暮らすうる波。
鹿野君と会話し、食事を2人分作り。
著者の凪良ゆうさんは、「どこまでも世間と相いれない人たち」を書いてきたとのこと。
本作でも、早く旦那さんのことを忘れ、新しい人をみつけなさいという世間とは相いれないうる波が主人公。
そして、うる波は、やはり世間とは相いれない価値観をもつ人たちと出会います。
感想
鹿野くん、消えなくてよいと思う
本作を読んでいると、旦那をなくした妻は、旦那さんのことは引きずらないで新しいパートナーを見つけたほうがよいという健全? な価値観はふっとび、鹿野君の幽霊が見えなくなったらどうしよう、と思ってしまう。
隠された秘密はたくさんある?
4つの話でスポットがあたる人たちはみな、秘密を抱え、
もしかしたら、世間的価値観からいうと墓場までかくすような秘密を持っています。
社会とは相いれない秘密を持っている人は実は多いのかもしれない、と思わせます。
特に、西島さん夫妻の秘密は印象深かったです。
でも、今現在世間とは折り合いをつけている西島夫妻の何が悪いの? と思わせます。
西島夫妻の物語で一冊になりそう。
おすすめ度★★★★
流浪の月がおもしろかったので、引き続き凪良ゆうさんの本を読みました。
みなの生きにくさが書かれ、すっとよめて、共感できて。本書も面白かったです。