どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

辻村深月さんの「盲目的な恋と友情」を読みました。

辻村深月さん、「盲目的な恋と友情」を読みました。
辻村深月さんガンガン、読んでおります。

 

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

 

 あらすじ

本書は恋と友情という二章から成り立っています。

「恋」では、タカラジェンヌの母を持つ一ノ瀬蘭花ちゃんと、オーケストラの指揮者である茂実星近との恋愛が描かれています。
欄花は、ある大学のオーケストラに所属するバイオリン奏者。
成実はそのオーケストラの指揮を務める指揮者です。
欄花がオケに入った当時、成実は3年生の高嶺の花、稲葉先輩と付き合っていましたが、2人は稲葉先輩が社会人になってから別れてしまいます。
フリーになった成実は、飲み会で欄花に声をかけます。
今まで本当に付き合ってみたいと思う人に出会った経験がなかった欄花は、茂美との恋愛に溺れていきます。
素敵なプレゼントをもらったり、華やかなパーティーにに連れて行ってもらったり、欄花は茂美と恋愛の渦中でしか味わえない甘美な時間を過ごします。
しかし、そんな欄花に元カノ稲葉先輩が気になる言葉を残します。
「もう、菜々子さんには会ったの?」

付き合いが進むにつれて、菜々子さんの正体が明らかになります。
そして、奈々子さんと茂実の関係によって、茂実の指揮者としての未来も崩れ去ります。
茂実に振り回される欄花。
そして、欄花を心配する留利恵。
恋愛の章は思いがけぬ事件で幕を閉じます。
そして始まる友情の章では、欄花の恋愛物語の影で進行していた留利恵の友情物語が明らかになります。

感想

前半の恋愛はまさに「盲目的」。
第3者の目から見れば、欄花が茂実と別れた方がいいことは明らかです。
欄花の友人である美波は欄花にはっきりとそれを伝えます。
対照的に留利恵は欄花に共感し、見守ります。
欄花はなんとここちよかったことでしょう。
恋愛は誰にとってもある意味盲目的なものであるかもしれません。
そこはありふれてさえいるように感じます。
一方の盲目的な友情には稀有さ、崇高さを感じました。
欄花は素直で美しい魅力的な女の子です。
そんな欄花への留利恵の想いは、少し度を越してはいますが、一部で共感しました。
そして、欄花との友情が実ってほしいと思いました。恋愛を見守るように。
前半の恋愛もさることながら、後半の友情が濃いです。
むしろ、前半の恋愛は後半の友情を描くためにあったのかもしれません。
他の、辻村さんの作品とは一風変わった作風の作品でした。

おすすめ度 ★★★

 

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)