どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

【Kindle Unlimited】石弘之さんの「感染症の世界史」を読みました。~元々中国から次の感染症が発生することが懸念されていた@2014年

 

【Kindle Unlimited】石弘之さんの「感染症の世界史」を読みました。

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:石 弘之
  • 発売日: 2018/01/25
  • メディア: Kindle版
 

概要

地上最強の地位に上り詰めた人類にとって、感染症の原因である微生物は、ほぼ唯一の天敵だ。医学や公衆衛生の発達した現代においても、日本では毎冬インフルエンザが大流行し、世界ではエボラ出血熱やデング熱が人間の生命を脅かしている。人が病気と必死に闘うように、彼らもまた薬剤に対する耐性を獲得し、強い毒性を持つなど進化を遂げてきたのだ。40億年の地球環境史の視点から、人類と対峙し続ける感染症の正体を探る。(Amazon内容紹介より)

内容のメモと感想

感染症の歴史の雑学がまとめられた本

エボラ出血熱デング熱に始まり、マラリア、コレラや結核、ペスト、ハンセン病、SARS、エイズ、寄生虫、ヘルペス、インフルエンザ、麻疹、風疹、結核などなど、それぞれの病の始まりや広がり方、社会に及ぼした影響、雑学がまとまっている本。

印象に残った雑学をいくつか

印象に残った知識をいくつかメモしておきます。

ピロリ菌はアレルギーを抑制する

ピロリ菌は今や日本人最大の感染症。かつてはほとんどの人が感染しており、現在でも世界人口の半数が保菌者とみられるとのこと。日本人でも5000万人から6000万人、人口の半数近くがこの金を持っている。ピロリ菌を飼っていると、彼らが過剰な胃酸を中和して胃液の逆流を塞いでくれるという利点や、特に小児期においてはアレルギーを抑えるという利点のがあるとのこと。

トキソプラズマ菌は寄生した生物の行動を変える

トキソプラズマ菌に寄生されたネズミは、ドーパミンの分泌が抑制され、恐怖心が抑えられ、ネズミは猫を怖がらなくなる。これによりネズミは猫に食べられやすくなり、原虫は猫の体内で繁殖の場所を確保できる。つまり原虫は繁殖のためにネズミをあやつっているとのこと。
ハリガネムシはカマドウマに寄生して、カマドウマの行動を変えて水に飛び込ませる。ハリガネムシは水の中でしか産卵できず、だから宿主のカマドウマを操って川に飛び込ませるとのこと。

マラリア=おこり

源氏物語の主人公光源氏が分かったとされる怒りはマラリアであったこと、平清盛もマラリアで死んだとする説があること

ある種の病気は、感染症への適用のために生じた人間の進化

白人にみられる嚢胞性繊維症は、遺伝子の1部が欠けていることで発病するこの病気に侵されるとねばねばした分泌液は内臓器官の下につまり機能が破壊されて亡くなる難病ただしこの遺伝子の欠損によって腸チフスにかかりにくくなる

タミフルは分解されず、水道でも検出される

これによって環境中の菌の耐性が強くなることが懸念される。

おすすめ度★★★

各感染症の歴史や雑学を概観するのによい本。
(○○は何年に発生した的な歴史的事実が淡々と語られる部分もあるので、特定の興味のある感染症にスポットを当てて読んだほうがよいかも?)
本書は、2014年に発行された「感染症の歴史」を加筆修正の上文庫化したものとのこと。
6年前の当時から、既に次の感染症は、中国かアフリカが発祥の地になるだろうと指摘していることが興味深い。

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:石 弘之
  • 発売日: 2018/01/25
  • メディア: Kindle版