辻村深月さん、オーダーメイド殺人クラブを読みました。
あらすじ
本書の主人公は、リア充の女子グループに所属する、中学2年生の小林アン。
一見、アンと芹香と倖は、楽しそうな仲良くしグループに見えますが、グループの中心である芹香の気まぐれな振る舞いに振り回されています。
芹香と倖には話せませんが、アンは女の子の死体の写真など猟奇的なものに惹かれています。
そして、ある時同じクラスの徳川も、同じような趣向を持っていることを知ります。
友人関係や家庭に悩むアンは、徳川に自分の殺人を依頼します。
あの写真集の写真のように、美しく殺してほしい。
オーダーメイド殺人クラブの始まりです。
徳川くんは、アンの依頼通りアンを殺してしまうのでしょうか。
些細なことで「無視」を決め込む女王様の存在するグループ
アン、芹香、倖は一見、例えば同じクラスの男子たちからは仲良し3人組に見えるのでしょう。
でも実際は複雑です。
芹香は些細なことをきっかけに気まぐれに、一定期間アンや倖を無視します。
アンが無視されている間、倖はコウモリのように、セリカの機嫌を取りつつアンのフォローをします。
アンは、芹香に振り回されるのはバカみたいだとどこかで感じつつも、再びセリカに話しかけてもらえるようになるとやはり安心します。
この、理不尽な女子のヒエラルキー、そして、理不尽であると知りながらショップそこに所属し続ける女子たちがとてもリアルに描かれています。
アンの猟奇的趣向がややディープ
アンが猟奇的趣向に走ったのは、こんな生活は嫌だ！ という心の叫びの現れのように見えました。
ちょっとディープすぎて、共感はしにくい。
上向きエンディング
やや暗く、重ための話でありつつ、最後のアンのセリフが素敵です。
中二という思い返すのも恥ずかしい時期の、女の子同士の関係がじめじめととてもリアルに描かれた作品でした。
おすすめ度★★★
