どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

浅原ナオトさんの「彼女が好きなのは、ホモであって、僕ではない」を読みました。

先日、NHKでドラマ化され話題になっていた、「腐女子、うっかりゲイに告る。」
その原作である浅原ナオトさんの「彼女が好きなのは、ホモであって、僕ではない」を読みました。

 

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

 

 

本書について

本書は、2016年~Web小説サイト「カクヨム」に投稿された著者の作品を、大幅加筆したものだそうです。
『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(通称:『カノホモ』)
LGBTの問題を扱った青春小説で、著者自身もカミングアウトしているそうです。

主人公は「ホモ」の安藤純くん

NHKのドラマタイトルからすると、主人公は「腐女子」のように読めますが、
(残念ながら、ドラマは見ていません)
少なくとも原作は、純君が主人公です。
純君はある時クラスメイトの三浦さんと本屋さんで遭遇します。
三浦さんがレジで会計していた本は、なんとBL本。
焦った三浦さんは純くんに口止めします。
純君がホモであるとは知らずに……。

男性が好きであり、かつ、子供がいる幸せな家庭を築きたいという矛盾と葛藤

純は不倫をしています。
純の不倫相手、誠さんは、同性愛者でありつつ、奥さんがいて、子供がいて温かい家庭を築くことにも成功しています。
奥さんがいて、子供がいる温かい家庭。
それは世の中の一般的な幸せの象徴です。
そして、同性愛者である誠さん自身も、子供がいることの幸せを自らの口で語ります。
純は、この「温かい家庭を持つことが幸せとされる世の中」で生きていかなければなりません。
純を女手一つで育ってきたお母さんも、普通を望むだろうと純は思います。
周りの大事な人やクラスメイトと価値観が違う社会で生きていかなければいけない、マイノリティーの苦しさがリアルに、でも重苦しくはなくポップに描かれた作品です。
婚活中の人々も含む、子供もいる家庭を築くことが幸せの象徴であるという固定観念に悩まされる全ての人が、何らかの共感を覚える作品だと思います。

純のクラスメイトの理解

三浦さんはもちろん、亮くん、そして、ちょっと時間はかかったけれどストレートに不快感を表したこともある小野君。
彼らの理解が暖かいです。ただ、暖かい理解に到達するまでには、それぞれに一山超える必要がありました。

このような作品がNHKで放映されるようになることは、よいなと、よく選んでくれたなと思いました。
LGBTの理解を深めるためにも、エンターテイメント小説としても、素敵な作品でした。

おすすめ度 ★★★★

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

彼女が好きなものはホモであって僕ではない