どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」を読みました。

辻村深月さん、ぼくのメジャースプーンを読みました。

 

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

 

 あらすじ

主人公は小学4年生のぼく。
同じクラスには、ふみちゃんという女の子がいます。
ふみちゃんは本を読むのが大好き。
本で得た知識を現実のものと結びつけることができる、とても物知りでかしこい女の子です。

この年頃の女の子はクラスの中で特定の仲良しグループを作りがちですが、ふみちゃんは、特定の仲良しのグループには所属していません。
同じグループの子と喧嘩してしまった女の子は、一人で過ごすのに困った時にはふみちゃんに助けてもらいます。
でも、ふみちゃんに助けてもらった女の子は、喧嘩が収まれば元のグループに戻ります。ふみちゃんにちょっと後ろめたそうな背中を向けて。
ふみちゃんは静かに笑顔でその背中を見送ります。

ぼくはそんなふみちゃんをすごいと思っていて、親しみを感じています。
ある時、ふみちゃんと僕を残酷な事件が襲います。
ふみちゃんは、その事件をきっかけに心を閉ざし、言葉を失います。
ぼくは不思議な力でふみちゃんを救おうとします。
ぼくは不思議な力の師匠である大学教授、秋先生の元に通い、自分の力について勉強し、犯人に復讐を試みようとします。
果たして僕の復讐計画は成功するのでしょうか、そしてふみちゃんは救われるのでしょうか。

感想

後半、犯人にどう復習すべきか、秋先生と議論するところ、考えさせられます。

ぼくの不思議な力は、この力で犯人にいかような苦痛を与えることもできるというシチューをつくるために準備されたものなのでしょう。
復讐をテーマに扱った小説や映画は多いと思いますが、この設定のもと、どんな復讐をすれば気が済むか、を考えることはとてもリアルです。
悲惨な故意の事故に巻き込まれた人が幸せになるためにはどうすれば良いか、という問題をここまで具体例を挙げて議論したものは初めて見ました。
犯人に冷酷なまでに冷たくする案や、もうそのことはすっぱり忘れてしまうという案、両方とも納得できてしまいます。
自分がと被害者とどういう関係であるかによって答えが変わってしまうところも、人間のエゴならでは。
もし、復讐とか仕返しについて考えるときがあったら、本書の僕と秋先生のやり取りをもう一度読み返してみたいと思いました。

ふみちゃんがかっこいい

大人になって振り返れば、小学生の頃の女の子の仲良しグループは、なんということほどのこともないこと、他愛もな一時的なものかもしれませんが、小学生にとってはそれが生活のすべてと言っても過言ではありません。
その中で、嫌われるのではなく、尊敬され、1匹オオカミを貫けるふみちゃんがかっこよすぎます。
そのすごさとふみちゃんの弱さを見抜いた僕もすごい!
ふみちゃんの言葉がもどり、2人がもっと親密な関係になっていければいいなと思いました。

ネタばれ~他の作品との関係について~

2人のその後が知りたい場合は、名前探しの放課後をおすすめします。
一見わからないようになっていますが、どこかに彼らが登場します。

 

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

 

 


そして、凍りのくじらとも、登場人物が重複しているようです。
このあたりはまとめて読むと楽しめますね!

 

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

 

人気が高いだけあって、本当に一気に読ませ、無理なく考えさせられる、面白い作品でした。

おすすめ度 ★★★★