どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

二児(長男・次男)の母の読書日記です

似非科学に騙されがちなリケジョにオススメの本。『科学との正しい付き合い方』。

本書はサイエンスコミュニケーターの内田麻理香さんの本です。
内田さんは、 「世界一受けたい授業」は「すいエンサー」などに出演されたこともある方で、多くの著書も出しています。
理科の面白さを上手に伝える方としては、でんじろう先生が有名です。
でも、内田さんも、科学を世の中に面白く伝えるのが上手だな、私もリケジョとしてそうなりたいなと思い、著書を何冊か読んでいる中で出会った本です。
内田さんの本には、
  • 家事や料理などの身近な科学をトリビア的に紹介している本
  • 子供向けに身近な科学の楽しさを紹介する本
がありますが、
本書は科学的知識を紹介する本ではなく、ご自身の科学に対する考え方を書いた本です。
そういった意味で、私にとってはこれまでの内田さんの本の中で1番面白い本でした。
以下印象に残ったこと3つ書きます。
 

科学と物語性

実はいちばん共感したのはここでした。
科学は直接的には私たち、専門家以外に人たちの役には立たないかもしれない。
著者は、それを認めた上で、それでも科学と言う知識があることで意味が芽生え、そのストーリーが私たちの生活豊かにしてしまうことがある。
そんなことを書かいていました。
 
例えば京都を歩くとき。
古都の歴史をしているかどうかは、歩くという行為には直接影響しないかもしれません。
それでも、歴史をしているかどうかは、歩くという行為に意味をもたらし、深みをもたらすことがあるかもしれません。
 
鶏ハムを作るときは70℃で蒸すとプリプリの食感のものができます。
タンパク質はそれ以上の温度になると変性して硬くなってしまうので、それ以上の温度にはしない方が良いのです。
その理由を知っていてもいなくても、鶏ハムを70℃で蒸すという行動にはなんら影響は無いかもしれません。
それでも、私は鶏ハムを作るときに、タンパク質の変性を何となく想像してしまいます。
それこそが科学がもたらす生活の彩なのかもしれません。
 

専門家、マニア、そして普通の人……自分が一般人ではないと気づく

すべての人を、科学技術に費やす時間の割合、関心の高さでざっくりと
  • 科学技術の専門家
  • 科学技術のマニア
  • 科学技術に関心が低い普通の人
と言う3つの層に分類するという考えが書かれていました。
ここで初めて気づいたことがあります。
実は私、自分自身のことをこれまで普通の人だと思っていました。
しかし、本書を読んで自分は専門家とマニアの間位に位置するということに気づきました。
化学系のイベントがあれば喜んで参加するのは普通の人ではなかったのですね!
普通の人は「科学技術館」とか「サイエンスアゴラ」にワクワクしないのですね!
世の中の科学技術に対する関心度の低さを甘く見ていたのかもしれません。
そうすると、
「国民の科学技術離れを懸念して推進されている国の対策は、マニアに向けられたものが中心となっている」
この内田さんの指摘は、非常に鋭いものです。
科学と、一般の方の架け橋を作ろうとするイベントの1つに「サイエンスカフェ」があります。
私は、行ったことはありませんが、サイエンスカフェのイベントの案内を目にするたびに行ってみたいなと思っています。
しかし。本書によればサイエンスカフェという言葉自体の認知度が10%とのこと。
人によって興味をそれぞれなんだなぁとようやくメタ認知しました。
 

リケジョはニセ科学に騙される

本書には、
「洗濯の時に、これさえ入れておけば、洗剤不要。半永久的に使えます。」
と謳ったプラスチック製の洗濯ボールを3,000円出して購入する理系大学院を修了した女性の話が書かれています。
役に立つ科学に引かれてしまう。
この著者の指摘、胸に刺さりました。
世の中には科学的に判断が付かない商品がたくさん出ています。
なぜそうなのか。
パッケージに描かれたよくわからないまんがに騙されないで、自分の頭で考えられるようにならなければいけませんね。
わからないならわからないで手を出さない。
それも正しい結論の1つなのかもしれないと思いました。
 

最後に

本書は、おそらく著者としては科学技術の専門家やマニアじゃない方にこそ読んで欲しいと思って書かれた本なのではないかと思うのですが、やはり専門家やマニアの方に多くよまれている気がします。普通の人の目にとまるところにゆるい科学記事が書かれる。
そういうことの1歩1歩が、科学技術と広く関わる人を増やすことに繋がるといいな、私もその1歩ならできるかもしれないなとと思いました。