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どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

1冊の本を読んで、1つの疑問を解消しよう。

誰か私をみとめて。承認欲求を持て余している人に効く処方箋、「京都モデル」とは。『承認欲求』

「これは……この用途でしか使えないの?   例えば……」
上司がそう言いかけた時、かぶせるように私は言いました。
「私もそう思いました。これ〇〇の用途では使えないんですか?」
上司の言葉を遮って。
先日の会議での事でした。
いってしまってから、自分が恥ずかしくなりました。
 
上司が提案しかけたそのアイディアを、私も会議の前から考えていたのです。
それで上司がそのアイデアを話し始めた時に、我慢しきれずいってしまったのです。
私も同じ考えだったと。
私はアピールしたかったのです。
1人でその考えに至ったことを、認めて欲しかったのです。
 
育児をしながら時短で働いている私は、自分にハンデがあると知っています。
勤務年数が同じ同僚より仕事ができないことを知っています。
でも仕事ができるって認めて欲しい。
それで、上司の言葉を遮ってまで、声を出してしまったのです。
 
誰か私を認めて!
承認欲求を表に出すことは、恥ずかしい。
本書は、有り余る承認欲求に効く処方箋でした。

 

承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?

承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?

 

 

 

あなたは何のために働いていますか?

「お金のために働いている」
そう答えた人に
「お金よりも重要なものは何か?」
と聞くと、多くの人は
・達成感、
・成長できること、
などを挙げるそうです。
では、自己実現したと実感させてくれるものとはなんでしょう?
自己実現の実感、それには他人の承認が欠かせないと著書は指摘します。
 
アメリカでは、能力の高さを示す成功が自己効力感をもたらします。
一方、日本では単に達成するだけではなくてそれが社会的に承認されることが必要であると指摘されているそうです。
 

裏の承認とは何か?

本書では、表立って自己主張したり、目だったりせず、分をわきまえ奥ゆかしく振る舞うことが良いとされることを、「裏の承認」としています。 
日本では、優れた能力や業績を称えるといった表の承認よりも裏の承認が重視されます。
すなわち日本では、
・表の承認を得たいと言う本音と
・裏の承認を得なければならないと言う思い
この間で葛藤することになると著者は指摘しています。 
大抵の日本人は認められたいと言う本音を押し殺して生きている、と。
 

短期の承認、長期の承認 

 
また著者は承認を時間軸で分類しています。
これに、表と裏を掛け合わせると4つのマトリックスになります。
・表の短期の承認=日常生活における賞賛や感謝。
・表の長期の承認=出世やキャリアアップなど実力の積み重ねによって手に入るもの。
・裏の短期の承認=ちゃんとすること。和を乱さないこと。
・裏の長期の承認=年功序列で大過なく勤めを果たすこと。
 

日常の承認とオフィスの大部屋の関係とは?

著者がアンケートを取ったところ、日本人は、
・周りの人から自分の存在を認めてもらいたい
・仕事ぶりを認めて欲しい
・上司に小さなことも見てもらいたい
・お客さんに感謝されたい
と言った短期の承認を得たいと言う願いを持っている人が多いそうです。
そして、それが得られるのかオフィスの大部屋。
大部屋に入ることによって、日常の行動を通して管理職は日常的に偉そう見せつけることができ、一般社員も何気なく交わされるコミニケーションを通して承認を得ることができるとしています。
これは読んで「なるほどー」と思いました。
確かに私は独身時代、ダラダラと残業していました。
そして居心地の良さも感じていましたし、一方で遅く帰ることが当たり前になってしまって帰りづらいと言うストレスも感じていました。
私がダラダラと残っていたのは、裏の承認を得るためだったんだなぁと思い当たりました。
 

会社はどうすべきか?

著者は表の承認を重視する職場の風土を裏の承認を重視する風土に書き換えるべきだと主張しています。
これまで日本の企業は「ちゃんとちゃんと」を追い求めて、黙々と残業する姿が望ましいとされてきました。
しかし、裏の承認があまりに重視されると弊害があります。
自発性を妨げてしまうのです。
日本では、個人の個性や個人の名誉が認められ難く、上司による手柄の横取りが行われてきました。
それでは部下がやる気を出すはずはありません。
個人にとってはもちろん、組織や社会にとっても、表の承認を追求し獲得できるような仕組みづくりが必要になってくると、著者は指摘しています。
著者は、表の承認を追求することによって、組織にとっても、
・モチベーション上げる、
・業績の好影響、
・離職の抑制、
・不祥事が減る
という効果があるとあげています。
表の承認が得られやすい文化への転換を。
それが著者の主張です。
 

個人はどうすれば承認欲求が満たされるか?ごく普通の人がどうすれば認められる「京都モデル」

 


著者は、日本でも特に閉鎖的な場所とされる京都をモデルに、ごく普通の個人が承認されるためのモデルを提案しています。

第一の条件は既存の人格的秩序を崩さないこと。
京都では日本を代表するようなベンチャー型企業がたくさん輩出されていますが、これらのベンチャー企業は社会的に伝統的な産業文化を脅かしたものではありません。
要は、例え実力主義であっても、年功序列制度が残る会社で、彼らの尊厳と権利は傷つけないようにしなければいけないと言うことです。
第二は、他人と競合しないところに活路を見出すことです。
ここでは周囲の競合を避けることをしなければいけません。
目的をずらしたり、売りをずらしたりすることで、野心や欲望を目立たせずに長期の承認を得ることができるとしています。
このように周囲と競合しない進路が決まったら、一芸に秀でる。
そしてオンリーワンの人材になったら、組織を上手に利用する。
これが、個人が承認を得るための京都モデルです。


私の活路

先日の会議で、私は上司と同じアイディアを口にしようとしました。
つまりそれは私がいなくても出たアイデアで、オンリーワンのアイディアではなかったのです。
この本を読んでから、私は業務の中でも自分が得意かもなーというところにかなり時間をかけてみました。その他の業務をちょっと疎かになりましたが……。
でも、先日、その力を入れた業務について上司が褒めてくれました。
ここが私の活路かもしれません。
目指すは一芸に秀でる。そしたら次に組織を活用する。
承認欲求。持て余していないで活用しなければ。
そう思えた一冊でした。

 

承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?

承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?