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どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

1冊の本を読んで、1つの疑問を解消しよう。

演奏してはいけません。記事をコピーしてはいけません。……なんで? そもそも著作権て何? 『60分でわかる図説著作権』

book-著作権

音楽教室で勝手に他人の楽曲を弾いてはいけません。

最近話題になっている「JASRAC(日本音楽著作権協会)v.s.ヤマハ
JASRACは、音楽教室から著作権料を徴収する方針を示しています。
他人の記事を勝手にコピーしてはいけません。
昨年末は医療系サイトwelq炎上をきっかけに、まとめサイトで次々と記事の盗用が見つかり、問題になりました。
 
 
なんで他人の楽曲を勝手に演奏してはいけないの?
なんで他人の記事を勝手にコピーしてはいけないの?
著作権があるから。
でも、そもそも著作権て何?
 
実は私、知的財産関連の仕事をしてします。
著作権は難しいです。面白いけど難しい。
 

なぜ難しいのか。

その理由、私はざっくり2つあると思っています。
1つは法律が複雑であること。
そして、もう一つはケース毎の当てはめが難しいこと。
 
本書は1つ目の問題、「著作権の複雑さ」を解消する本です。
本書の特徴は図が多いこと。
そして、著作権法全体を俯瞰していること。
著作権法の概要を短時間で理解するのに、最適な本です。

 

60分でわかる! 図説 著作権 (ディスカヴァー携書)

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著作権と一口に言うけれど……

著作権は権利の束とも言われています。
なぜなら、著作権はいくつもの「支分権」が、合わさったものだからです。
以下のように、著作権はこんなにも多くの「支分権」から成り立っています。
 
f:id:casablanca:20170303061330j:plain
 
 
(ひとつひとつがどんな権利かを知りたい方は是非本書をパラパラ眺めてみてください。権利のひとつひとつについて図で説明してあります。)
 
また、著作物を創作すると、著作権と同時に著作者人格権も発生します。
 

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さらに、ここまでは、著作者の権利についての話ですが、著作物を伝える「伝達者」も著作隣接権と言われる、一定の権利を持っています。
伝達者とは、
  • 俳優、舞踏家、演奏家などの実演家
  • レコード会社等のレコード製作者
  • テレビ局やラジオ局などの放送事業者
  • ケーブルテレビ外車等の有線放送事業者
のことです。
例えば、実演家もこんなにたくさんの種類の権利を持っています。
 

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そしてそして、割愛しますが、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者も、それぞれ複数の権利を持っています。
 
例えば、ある脚本に基づいているせられたドラマをDVD化して販売する場合、
  • 脚本を書いた脚本家

だけではなく

  • テレビドラマを演じた俳優、
  • テレビドラマを放送したテレビ局
からも許諾を得なければならないのです。
 
一口に著作権といっても、著作物にまつわる権利はこんなにもたくさんあるのです。
ああ、もうここでGIVEUPしたいところですが、著作権が複雑な理由、実はもう1つあります。
 

例外の難しさ

そして著作権法で難しいのは例外があることです。
普通、著作権の保護期間が満了していない著作物を使うときには、著作権者からのお許しを得なければいけません。
しかしこれを徹底すると、著作物の利用の妨げになると言う悪影響もあります。
そこで著作権法では、一定の場合に限り、著作者のお許しを得ることなく、著作物を利用することができることになっています。
この著作者の権利を制限する規定を、制限規定といいます。
例えば、お家でのテレビ番組の録画は誰にも許可を得ずにしますよね。これは例外にあたるからなのです(私用私的のための複製)。
 

他人の著作権を侵害しないか?   検討すべきことのリスト

そして私が本書で1番いいなと思ったのは、最後に示されたフローチャートです。
他人の著作権を侵害しないために検討すべき事項がフローチャートになっています。
これって著作権侵害? と思ったとき私たちが考えるべき事は5つです。
 
1利用する対象は著作物か?
2保護期間は満了しているか?
著作権が及ぶ利用か?
4制限規定に該当する利用か?
著作権者から許諾を得たか?
 
この質問に
 
1利用する対象は著作物か?  Yes
2保護期間は満了しているか? No
著作権が及ぶ利用か?    Yes
4制限規定に該当する利用か? No
著作権者から許諾を得たか? No
 
となると、著作権の侵害の可能性があります。
まあ、実はこの5つの質問に正確に答えるのが、相当難しいんですけどね……
 
冒頭の例で考えてみましょう。

音楽教室でアーティストの楽曲を演奏するのは著作権の侵害か。

 

1利用する対象は著作物か? ⇒ Yes

アーティストの楽曲は著作物。ここは議論はないでしょう。
 
2保護期間は満了しているか? ⇒ ケースバイケース。Noの楽曲もある。
ここはケースバイケースですね。
モーツアルトの曲なら満了しているし、最近のアーティストの楽曲なら、満了していないでしょう。
(保護期間は発生~死後50年)
 
著作権が及ぶ利用か?  ⇒  ???
ここが議論となっているところです。
JASRACは、「演奏」に当たるので著作権の支分権の1つ、演奏権の侵害に当たると考えているようです。
法上の「演奏」に当たるか当たらないか。
このあてはめが、著作権の難しさのひとつです。
あてはめには、これまでの判例が参考になります。
また、例えば裁判になれば、社会的な影響や公平性等も考慮されて、結論が出されると言われています。
本件どんなオチになるのか。
引き続きチェックしていきたいです。

著作権について知りたいというニーズ

個人が簡単にデジタルコンテンツを作る著作者となりうる今、著作権について知りたいと言うニーズは高まっていくのではないかと感じます。
 
引き続き、
・ブロガーが発信するときに気をつけなければいけないこと
・個人クリエーターは何に注意すべきか
そんなことを心に留めつつ、著作権の本を読んでいこうと思います。
またご紹介します。
ご興味あればお付き合いください!

 

60分でわかる! 図説 著作権 (ディスカヴァー携書)

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