最近、「再現性よく美味しい料理をつくること」、について試行錯誤しておりその一環として手に取りました。
調理は反応なので、同じ条件でつくれば、同じものができるはず。
そして、調理は、基本的には、切る、加熱する、味付けするがメインかと思いますが、この条件が最適化されていなくて、一定でもないので再現性よく美味しい料理ができていないわけです。この本は「加熱する」と中心に理論と応用が書かれています。
おいしさをつくる「熱」の科学―料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A
- 作者: 佐藤秀美
- 出版社/メーカー: 柴田書店
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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とてもわかりやすく科学的に理論がかかれており、具体的な食材や加熱方法を挙げての応用が書かれています。Q&A形式で書かれているのですが、ほぼすべて、参考になりました。以下、中でも特に重要なポイントのメモです。
熱の伝わり方: ①対流熱:流体を媒介して熱が伝わる。ゆでる、煮る、揚げる、蒸す
②電動熱:固体を媒介して熱が伝わる。焼く、炒める、煎る
③輻射熱:赤外線によって熱が伝わる。直火焼き
オーブン:対流式(コンベクション)オーブン:暖かい空気を媒介した対流熱メイン
輻射(放射)式オーブン:輻射熱メイン
輻射熱:赤外線が食品の表面で吸収され熱に変わる。
赤外線の波長: 波長が短いほど食品に深く(数mm)入り込む
遠赤外線で加熱:表面はすぐに温度上昇し、からりと、
内部は伝導熱でゆっくり加熱水分残る。
※肉や魚の焼きもの、スポンジに向いている。
IH調理器:誘導加熱:磁力発生コイル(抵抗低い)に電流が流れる
→磁力線発生
→鍋の底(抵抗高い)で渦電流発生
→抵抗加熱
電子レンジ:誘電加熱 : マグネトロンでマイクロ(2450MHz)波発生
→食品がマイクロ波を吸収して発熱
マイクロ波:食品の表面から6~7cmの深さまで浸透
※ジャガイモは中が加熱されすぎ、キャベツは中まで届かないことも
誘電損失係数: 空気0
フッ素樹脂、PP、石英0.0005~0.001
氷・ポリエチレン・磁気:0.001~0.005
紙・塩ビ・木:0.1~0.5
水:5~15
食塩水:10~40
野菜の加熱と硬さの関係:
50~60℃:細胞同士をくっつけるペクチンが長い鎖がからみあうよう複 雑な構造に変化→固くなる
80~90℃:ペクチンが熱で分解される→柔らかくなる
※レタスを50~60℃にさらすとしゃきっとする。
※ペクチンは中性、アルカリ性ではきれやすいが、酸性では切れにくい。レンコンをゆでるときは酸性(レモン汁)で。
肉の加熱温度と硬さの関係:
45~50℃:筋原線維タンパク質凝固(柔らかい)
56~62℃:筋形質タンパク質凝固(固くなる)
65℃付近:コラーゲン収縮(より固くなる)
75℃付近:コラーゲン分解→ゼラチン化(柔らかくなる)
加熱の方法は今まで適当に選んでいたのですが、食材や出したい特色によって選ぶんだなぁということがよくわかりました。目的に応じて温度管理するということも大事ですね。今まで、目的もあまりもたず、温度管理もしていなかったのですが、とりあえず温度計は買ってみようかなと思いました。次はさらに具体的なレシピまで書いてある本を読んで勉強・実践してみたいと思います。
毎日してる料理ですが、あまりに無知だったなと反省。理論があればああしてみようとか、こうしてみようという試行錯誤が、失敗したとしても楽しいです。どうせ毎日やることなので、義務感のみからやるのではなく楽しめるようになってきたこと、これが一番の収穫かもしれません。